特商法の「書面電子化」検討会 承諾の控え「紙で」、事務局が原案提示
訪販協「率直に残念」、電磁的方法による取得は排除せず
適合性要件に面積=A事務局案は「A4収まるサイズ」
会合の終わりに河上正二座長は「ある程度、議論の収束が見られた」「これで収束するんじゃないかと考える」とコメント。 事務局の報告書案をベースに会合で出た意見を踏まえた修正や文言の調整を行い、「座長の責任においてまとめていきたい」とした一方、 8月後半を予定する次回会合を「さらなる議論の場」として開く可能性にも触れた。
事務局案は、電子化が可能となった訪問販売や連鎖販売取引など大半の取引類型について、「(消費者が)機器の操作をせずに視認できるものを最低限、 消費者の手元に残すための控えを、書面で交付すべきではないか」と提示。その理由に、訪販等における不意打ち性や対面勧誘性、連鎖販売等の利益誘引性によって、 消費者の真意に基づく承諾の取得が行われないおそれをあげた。
紙の控えの交付を求めない取引類型は、契約の申込〜締結をオンラインで完結する特定継続的役務提供(以下特役)のみとした。控えに記載する項目には、 承諾の事実や電磁的記録の受領方法のほか、契約の具体的な相手方や記録が添付されたメール開封のお願いなどの注意事項を例示した。
承諾の取得方法については、電子化が可能な全取引類型に共通のルールとして、「単に口頭やチェックボックス等の簡便な方法による了解ではなく、 自筆署名や重要事項について理解の上で必要事項を入力する等、消費者の自覚が促され、記録が残る方法とすべきではないか」と提示。 訪販、連鎖販売等において電磁的方法で承諾を取得する選択肢を法的に排除しない考え方を盛り込んだ(資料「1 真意に基づく明示的な意思表明方法E」参照)。
この案に増田悦子委員(全国消費生活相談員協会)が「オンライン完結型の特役に限定して(紙の控えを必要としない電磁的交付を)認めるべき点に賛成」と意見。 他の消費者側委員から明確な反対意見は出なかった。
これに対して事業者側委員は、小田井正樹委員(日本訪問販売協会)が「承諾の手続きは電子的方法で可能ということだが、 その前の段階では何らか紙の書面の交付が必要ということ」「それが義務付けられるルールになるのであれば、率直に残念」と述べた。
(続きは2022年8月11日号参照)