日弁連が特商法改正の意見書

「お断りステッカー」の有効性、明記を要請

電話勧誘に「DNC」、訪販・連鎖の参入規制も

 日本弁護士連合会は7月19日、18年改正における施行5年後見直し°K定や苦情相談件数の高止まりなどを理由に、 不招請勧誘規制の強化を柱とした特定商取引法の改正を求める意見書を消費者相等へ提出した。いわゆる「訪問販売お断りステッカー(以下ステッカー)」 の有効性を条文上で明記することや電話勧誘販売における「DoNotCall(以下DNC)」制度の導入、 訪販・電話勧誘と連鎖販売取引の参入規制などを求める内容。連鎖販売では会員が得た平均報酬額の説明義務や、 すき間事案化している「後出しマルチ」の規制なども求めている。

国の解釈「直ちに改められるべき」

 提出したのは「特定商取引法平成28年改正における5年後見直し規定に基づく同法の抜本的改正を求める意見書」。提出先は消費者担当大臣、経済産業大臣、 消費者庁長官、消費者委員会委員長。16年に改正され17年12月に施行された特商法は、附則の第6条で施行から5年を経過した時点で施行状況を検討し、 必要がある場合、結果に基づいて所要の措置を講ずるとされており、今年12月に5年が経過する。
 意見書では、この5年後見直し規定に加え、近年高止まりにある消費生活相談において特商法が対象とする取引分野が56%を占めることなどを指摘。 対策の一環として、家の門戸に「ステッカー」を張る行為が、再勧誘禁止ルールを定めた特商法第3条の2第2項の「契約を締結しない旨の意思を表示した」 場合に該当することを条文上明らかにすることを求めた。要請は現行ルールの尊重の徹底であり「不招請勧誘の禁止を求めるものと理解することは不適切」 としている。
 「ステッカー」の有効性をめぐっては、消費者庁取引・物価対策課(現取引対策課)が09年12月に出した通達で、「意思表示の対象や内容、 表示の主体や表示時期等が必ずしも明瞭でない」ため、契約を締結しない旨の意思表示にあたらないとの解釈が示されているが、 有効性を条文上明らかにすることで「直ちに改められるべき」とした。なお、同通達は自治体が条例で「ステッカー」に効力を与えることは特商法の解釈に 「影響されない」として有効性を認めている。

訪販に登録制「店販に準ずる信頼確保」

 電話勧誘への導入を求めた「DNC」は、あらかじめ消費者が行政に届け出た番号への電話勧誘を禁じる仕組み。欧米各国や韓国等のアジア諸国で導入事例がある。 意見書では、電話勧誘の再勧誘を禁じた特商法第17条を「更に一歩進め(る)」形での制度を求めた。「DNC」の番号が「カモリスト」 として悪用される可能性には、届け出が行われた番号を事業者側が照会するリスト洗浄方式を採用すれば、「(悪用を)相当程度防止することができる」としている。


(続きは2022年8月11日号参照)