「書面電子化」とクーリング・オフ
起算日=「消費者の通知した日」は見送り
消費者の確認通知「事業者の地位安定」理由にルール化も
昨年6月に成立した改正特商法の条文は、電磁的方法で法定書面が到達したとみなすタイミングを 「電子計算機に備えられたファイルへの記録がされた時」と定めた。具体的な電磁的交付に落とし込めば、 PDF等の電子書面が電子メール等によって消費者のパソコンに到達した時などが該当すると考えられ、 同時に、ク・オフの起算日も「ファイルへの記録がされた時」に始まると考えていいはずだ。
一方、これまでの検討会やWTで複数の消費者側委員は、電子書面を閲覧・保存し、その旨を事業者にメール等で通知した時などに、 起算日が始まるように政省令で定めることを意見。第3回の検討会でも、「ファイルへの記録がされた時とは、 電磁的方法で書面を交付した後、消費者がファイルを受け取って保存できたかの確認と一体と考える」(福長委員)、 「消費者のサーバーに届いても確認保存しなければ真に書面交付したとは言えない」(増田委員)といった要望が出ていた。 池本委員や河村委員は、消費者からの通知を起算日とみなすことが難しい場合、 「ファイルへの記録がされた」ことを事業者に確認させる義務を定め、 この手続きを取らなければ起算日の始まりを主張できないようにすることを求めていた。
一方、検討会の事務局を務める取引対策課は、第4回の会合に提出した議論のたたき台となる資料の中で、 「起算点たる電磁的方法により提供された記録の到達時点の考え方については、他の法律も同じ規定振りであることから、 特商法等においても解釈は同じとせざるを得ない」と説明。
(続きは2022年7月7日号参照)