特商法の「書面電子化」
訪販協「望ましくない」取引類型リスクの論点化に
適合性確認、保有デバイス要件で意見相違も
デジタルか紙か=@承諾取得の結論持ち越し
昨年6月に成立した改正特商法の「書面電子化」規定は、契約を申し込んだ消費者の「承諾を得て」電磁的方法による書面交付を行うことを事業者に認めた。 この承諾をどのような手続きに則って取得するように政省令で定めるべきか。昨年7月に立ち上げられた検討会における最大の争点の一つであり、 下部組織のワーキングチーム(以下WT)におけるヒアリングでは、計19カ所の団体・組織からそのあり方をめぐって意見が述べられた。
6月30日に開催された第4回検討会では、この承諾取得に関し、初めて本格的に議論。しかし、消費者側の委員と事業者側の委員の主張の隔たりは大きく、 最終的な結論は見送られた。
議論のたたき台となったのは、事務局を務める消費者庁取引対策課が用意した、 特商法の各取引類型のリスクレベルに応じて承諾取得の方法を変えるアイデアだ。
事務局は、真意に基づく承諾の事実が証拠として残る方法によって承諾取得が行われるべきで、「リスクレベルの高い取引形態にあっては、 消費者の手元に控えが書面で残る方法」(検討会資料より)が取られるべきとの考え方を提示。 事業者側の委員が強く反発してきた「紙の書面」による取得案を示した。
周知の通り、消費者庁は昨年の国会審議の段階から、訪問販売などを念頭に、 オンライン非完結型の取引ジャンルは承諾の取得を紙の書面で行わせる考えを繰り返し答弁してきた。 この時の方針を検討会でも改めて示してきたことになる。
さらに事務局は、過去の検討会やWTで消費者側委員から出た意見を踏まえ、取引類型毎のリスクレベルを訪販・電話勧誘販売の不意打ち性=A 連鎖販売・業務提供誘因販売の利益誘引性=A訪販などの対面勧誘性≠フ観点から整理(資料「真意に基づく明示的な意思表明方法C」を参照)。 これら3要素を判断の材料に、電磁的方法による承諾取得が認められる範囲・取引をどのように定義すべきか、委員の意見を求めた。
これに対して、消費者側委員のほとんどは、紙の書面で承諾を取得させるべき旨を主張(表参照)。 検討会の議論をリードしてきた一人である池本誠司委員(弁護士)は、「不意打ち性、利益誘引性、対面勧誘性のあるものは、 納得ずくの承諾が行われない恐れがある。そういうものは書面による承諾、控えの交付が必要」と述べ、 提出した意見書でも「取引類型によって線引きをすることが明確性の確保に資する」「(事務局の)論点整理の内容が適切」と賛同を示した
(続きは2022年7月7日号参照)