DS化粧品企業のサロン展開 リアル・デジタル両軸が加速

デジタルでもコミュニケーション重視

リアルでの触れ合い♀エ覚を訴求

 ダイレクトセリング化粧品市場では、コロナ禍によってサロンビジネスのあり方が大きく変わった。第6波以降、感染状況は落ち着いているものの、 再び増加傾向にあることから、ニューノーマルに対応した取組みは不可欠だ。サロン展開は、顧客接点と販売チャネルの多様化を目的としているが、 「リアルでの対面」を基本としていた。コロナ禍の中、拠点をベースとしつつ、オンラインでのカウンセリングやITを活用した教育、自宅訪問など、 新しい施策を導入する動きが相次いだ。ニューノーマルに対応した取組みは、新たな需要の掘り起こしにもつながっており、 リアル・デジタル両軸のサロン展開は、アフターコロナを見据えた軸となりそうだ。
▲男性の利用者も増えている
「アペックス」の肌分析(ポーラ)
双方向性を強化ジェンダーレスも

 全国に「ポーラ ザビューティー」などの店舗を3000店舗以上展開するポーラは、対面で行ってきたカウンセリングをオンライン化し、 スタッフと顧客の接触時間を減らす施策を実施している。現在、月平均で2000人以上の顧客がオンラインカウンセリングやワークショップを利用しており、 新型コロナウィルスの感染状況に左右されずにコミュニケーションを図れる態勢を構築した。オンラインカウンセリングでは、 顧客とビューティーディレクターとの1対1のカウンセリングを行うほか、複数名が参加できるワークショップ、新製品の使い方や季節ごとの美容法、 家でできるマッサージなどを紹介するオンラインレッスンなど、多様なオンラインサービスも提供。 顧客同士のコミュニケーションも取り入れたモニター座談会形式での利用も行っている。また、オンラインワークショップでは、 家で出来るお手入れやセルフマッサージ、メークの基本レッスン、新製品の特徴紹介と使用法レッスンなどを複数名対象に行っている。 参加者の意見などを踏まえてオンラインコンテンツをブラッシュアップしているほか、社内に設置した「オンライン強化研究会」において、 店舗同士での情報交換やアドバイス、オンライン接客スキル向上のための研修、オンライン接客コンテストを実施してフィードバックするなど、 サロンサービスにおけるニューノーマル対応を進めている。
 対面で行ってきたカウンセリングをオンライン化し、スタッフと顧客の接触時間を減らすことが出来るシステムは、「おうち美容」を行いつつ、 サロンでのカウンセリングなどリアル施策を提供できるのが特徴で、オンラインカウンセリングおよびワークショップの満足度は90%以上、 知人・友人への推奨度は80%と、好評を博している模様。
 感染防止と顧客フォローを目的に始まったオンライン施策は、感染予防対策を目的とした店舗の滞在時間短縮だけでなく、 さまざまな事情でなかなか外出できない女性でも利用しやすいなど、利便性向上にも寄与している。 また、公式スマートフォンアプリ「PORTAL by POLA」では、ポーラの研究知見が裏付ける情報をベースに、地域や季節、 肌悩みなどに応じた美容情報、多様な視点から身の回りのさまざまな物事の本質を探るライフスタイル、 アートやカルチャーなど計100以上のコンテンツを配信している。
 このほか、商品施策では、最高峰ブランド「B. A」や美白ブランド「ホワイトショット」の新商品を投入しているほか、 個肌対応のパーソナライズドブランド「アペックス」のラインナップも強化している。「アペックス」は、約1970万件の肌データを蓄積し、 862万通りのスキンケアを提案するシステムが強み。近年は女性だけでなく、男性が同ブランドの肌分析を利用するケースも増えており、 累計の体験人数は1万人超となっている。コロナ禍になり、男性でもスキンケアを意識する動きが強まっているほか、 社会のさまざまな分野で「ジェンダーレス」が注目されていることから、同ブランドも性差≠ナはなく、 肌個性≠ノ合わせたスキンケアブランドとして訴求を強めている。


 

(続きは2022年7月7日号参照)