消費者裁判手続特例法

特商法処分情報、特定適格団体へ提供可能に

施行前の処分も対象、被害回復訴訟をアシスト


 6月1日、改正特定商取引法と共に施行された改正消費者裁判手続き特例法(以下改正特例法)の運用の行方に、業界関係者の間から注目が集まっている。 改正特例法において、被害回復訴訟を起こせる特定適格消費者団体(以下特定団体)に対し、 特商法の行政処分に際して作成された国の内部資料を提供できるようになったからだ。しかも、提供可能な資料は施行される以前に行われた処分も対象。 僅かにとどまってきた被害回復訴訟の動きをアシストする可能性がある。
「PIO」情報の提供、5年で119件

 特例法は16年10月の施行。一定の要件を満たした適格消費者団体を特定団体に認定し、被害回復訴訟を起こせる権限を与えた。 現在、消費者機構日本、埼玉消費者被害をなくす会、消費者支援機構関西、消費者支援ネット北海道の4組織が認定を受けている。
 被害を受けた不特定多数の消費者に代わって特定団体が訴訟を起こし、事業者の金銭支払い義務が認められれば、 消費者に裁判手続きへの参加を呼びかけた上で、支払い額の確定と実際の支払いが行われる。この訴訟を支援する目的で設けられたのが、 行政情報の提供を求めることができる規定になる。
 旧特例法では、国民生活センターが管理する「消費生活相談」に関する情報を提供可能な情報に指定。 具体的には「PIO―NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)」に蓄積されたデータのうち、 被害実態の早期把握を基準とする情報から作成された統計・その他の情報について、苦情相談を受け付けた消費生活センターがある自治体の同意の下で、 提供を受けてきた。
 特定団体から国センに対する情報提供要請は、17〜21年度の過去5年で計119件に達しており、 被害回復訴訟やその準備に欠かせないデータとして活用されている。国センからは、訴訟を起こした特定団体に対する立担保の支援も行われており、 緊密な連携が図られてきた。

 

(続きは2022年6月23日号参照)