消費者相談デジタル化へ「行動計画」、運用開始

「PIO」をAIで解析、業務支援のCRM検証

総合システム、KPI基準値は「現時点で未定」

  コロナ禍にともなうデジタル化の推進が消費者相談の現場でも本格化しつつある。昨年度後半、 地方自治体の協力を得て相談業務の支援システムの試行などに着手していたところ、このほど、将来像や具体的事業を盛り込んだアクションプランを公表。 運用をスタートさせた。ただ、実際に動き始めている事業は、「PIO―NET」データのAI(人工知能)による解析など一部。 アクションプランの推進期間が長期に渡ることもあり、現時点でKPIの数値は定まっておらず、 相談体制を支援する総合システムの具体像も固まっていない状況だ。

あるべき姿を目指し再構築

 消費者庁と国民生活センターは6月15日、デジタル社会に即した消費生活相談の受付・処理体制の構築や「PIO―NET」の抜本的刷新を柱とする 「消費生活相談デジタル・トランスフォーメーションアクションプラン2022」(以下アクションプラン)を公表した。
 社会全体でコロナ禍にともなうデジタル化が急速に進み、消費者の情報収集・コミュニケーション手段もデジタルが当たり前となる一方、 大半の消費生活センターでは固定の電話・パソコンで業務を実施。消費者から受け付けた相談は手入力が求められるなど、 アナログな作業から抜け出せていない。
 稼働が始まって40年近くが経過する「PIO―NET」も、屋上屋を重ねるような改修の連続でシステムが重厚長大化。このためアクションプランでは、 現状を前提とした一部の修正ではなく、本来あるべき姿をゴールとする相談体制とシステム全体の再構築を目指している。
CRMの効果検証8自治体が協力

 このアクションプランのロードマップ(図参照)において、初年度にあたる22年度の主要事業の一つにあげられたのが、 民間の顧客対応窓口などで活用されているCRMシステムを相談業務支援に応用する試み。その前段となる検証作業が、 昨年12月〜今年3月にかけて、プロトタイプ#ナの試行という形で行われた。
 プロトタイプ#ナの試行には、国センと検証への協力に手を上げた自治体が参加。自治体は東京都、文京区、神奈川県、相模原市、 石川県奥能登広域事務組合、広島県、福山市、徳島県の8カ所で、 相談員向けの入力画面や入力項目などについて業務の効率化にどれほど寄与するかを検証したとする。


 

(続きは2022年6月23日号参照)