ダイレクトセリング化粧品 「アフターコロナ」踏まえた取組み

リアルイベントとデジタル活用
対面販売の強み活かす

 ニューノーマル対応の社会が定着し、日本国内でも感染防止対策を講じながら社会経済活動を活性化させようとする取り組みが増えてきている。 ダイレクトセリング化粧品市場では、この2年でリアル・デジタルの融合が進んだ。リアル施策の代表格とも言えるサロン展開については、コロナ禍に伴う緊急事態宣言等によって、 臨時休業を余儀なくされたが、厳しい時期を乗り越え、リアルイベントを再開する動きもみられる。同時に、ECなど非接触型の販売チャネルによって、 新規顧客へのアプローチとして注力する傾向も強まっている。アフターコロナを見据え、主軸の対面販売のテコ入れを行いつつ、多様化・細分化したニーズの掘り起こしが進む。

3年ぶりのイベント地域密着強める

  オッペン化粧品は、5月7日~1387日の1週間、本社敷地内にあるばら園を一般公開するイベント「ローズウィーク」を開催した。2020年、2021年はコロナ禍のためリアルでの開催は中止し、 ばら園の様子をオンラインで配信していたことから、3年ぶりの開催となった。
▲マスク荒れなどの悩みにも対応
 「ローズウィーク」は、2014年から毎年5月に開催されているイベントで、本社敷地内にあるばら園を一般公開し、320種4000本にも及ぶばらを近隣住民などに楽しんでもらっている。 この時期は、「エリカ87」「リベラ87」といったオリジナル品種のバラが満開となるため、ばら園は一気に華やいだ雰囲気になる。 過去に開催してきたイベントでは、オッペン化粧品主催による美容セミナーのほか、隣接する大阪学院大学とのコラボレーションイベント、吹田市など自治体と連携した取り組みなども行われ、 地域に密着した風物詩として定着してきた。また、ばら園は関西でも有数の規模で、関西エリアの花スポットを紹介する書籍「関西花のおでかけ」(エルマガジン社刊)にも掲載された。
 コロナ禍になり、2020年、2021年の「ローズウィーク」は、ばら園の様子をインターネット上で公開するかたちで実施し、インスタグラムとユーチューブでばら園の様子を届けた。 2022年は、ニューノーマル対応社会が定着し、感染防止対策の意識が浸透していることや、ワクチン接種の進展などによって第6波がピークアウトし、状況が落ち着いていることなどを踏まえ、 イベント等は実施せずばら園を一般公開する方式で開催するに至った。2年連続でインターネット等での公開となったローズウィークだが、今年はイベントの制限などがあったものの、リアル開催できたことは、 コロナ禍で停滞しがちだった活動が1つの転換点を迎えたと見ることができよう。
 オッペン化粧品では、近年、「ローズウィーク」イベントにみられるように、地域と積極的に連携する取り組みが活発だ。隣接する大阪学院大学では、就活のためのメークセミナー、 地元を知り地域を活性化させる地域創生講座「吹田学」への協力等、さまざまなかたちでコラボを行ってきた。こうした取り組みは製品開発でもみられ、 2月1日にリニューアル発売したロングセラーの保湿クリーム「オッペンエポックミラクルコーチクリーム」では、容器デザインで大阪にあるデザイン専門学校とコラボ。 デザインコンペによって生まれた、ドレスに身を包んだプリンセスをかたどったデザインを採用した。学生の感性を活かし、「シンデレラが生まれ変わったように、 私たちの肌にも〝奇跡(ミラクル)〟が起こりますように」という思いを込めたデザインにオッペンが共鳴し、デザインが決まったという。容器表面には薔薇のデザインがあしらわれているほか、 プラスチック廃棄量を減らす取組みも盛り込み、レフィル対応容器となっている。包装パッケージは、馬車をイメージしたデザインでプリンセス感を演出した。

デジタル施策活用 リアルとの接続

 ダイレクトセリング化粧品最大手のポーラでは、多様化が進む消費者ニーズに合わせ、ダイレクトセリングを生かした柔軟な販売チャネルの設計、利便性向上を図っている。

(続きは2022年6月2日号参照)