ダイレクトセリング化粧品 浸透する「おうち美容」

リアル・デジタルの有効活用 自粛疲れのニーズ獲得も
 2022年も数カ月が経過した。コロナ禍になって3年目の春を迎え、社会経済活動はニューノーマルに対応した取組みが浸透した。 ワクチン接種は進展しているものの、第6波以降、状況は一進一退が続いており、予断を許さない。化粧品市場では、需要が急増したECチャネルの強化がみられる。 主力のサロンビジネスでは、新メニューやオンラインサービスを導入して新規ニーズを掘り起こす動きが依然として活発だ。 今やリアル・デジタルの融合は不可欠となっており、特にデジタル経由でブランドに接触したユーザーの定着がカギとなる。 各社は、さらなるニューノーマルに対応したプラスアルファの施策を講じて、独自の付加価値を訴求している。

サロンのノウハウをオンラインでも
▲「おうち美容」「プチ贅沢」需要を
   獲得したセルグレース(ナリス化粧品)
 ポーラは、ポーラショップなどでオンラインカウンセリングを実施しており、月間2000人以上の顧客が同サービスを利用している。コロナ禍の中、 ニューノーマルに対応したサロン施策としてスタートしたのが、オンラインによるカウンセリングサービスだ。対面で行ってきたカウンセリングをオンライン化し、 スタッフと顧客の接触時間を減らすことが出来るシステムは、「おうち美容」を行いつつ、サロンでのカウンセリングなどリアル施策を提供できるのが特徴。 オンラインカウンセリングでは、顧客とビューティーディレクターとの1対1のカウンセリングを行うほか、複数名が参加できるワークショップ、 新製品の使い方や季節ごとの美容法、家でできるマッサージなどを紹介するオンラインレッスンも提供している。 顧客同士のコミュニケーションも取り入れたモニター座談会形式での利用も行っており、オンラインカウンセリングおよびワークショップの満足度は?%以上、 知人・友人への推奨度は80%と、好評だという。
 感染防止と顧客フォローを目的に始まったオンライン施策だが、感染予防対策を目的とした店舗の滞在時間短縮だけでなく、 さまざまな事情でなかなか外出できない女性でも利用しやすいなど、利便性向上にも寄与している。ポーラでは、「オンライン強化研究会」で、 店舗同士での情報交換やアドバイス、オンライン接客スキル向上のための研修、オンライン接客コンテストを実施してフィードバックを行うなど、 接客技術・体験価値向上を進めている。また、2021年11月に提供を開始した公式スマートフォンアプリ「PORTAL by POLA」では、 ポーラの研究知見が裏付ける情報をベースに、地域や季節、肌悩みなどに応じた美容情報、多様な視点から身の回りのさまざまな物事の本質を探るライフスタイル、 アートやカルチャーなど計100以上のコンテンツを配信している。店舗の検索、お気に入り店舗で実施をしているキャンペーンやイベントなどの情報発信・申し込みなど、 店舗体験への利便性も高めることで、リアル・デジタルの導線確保を狙う。アプリをダウンロードする際に地域や肌悩み、年齢といった6項目を入力すれば、 手軽に美容・健康に関する知識を入手し、関心を深めることができる。アプリによって、「会えない時でも出会いとつながりの可能性を広げ、日々豊かな時間を育み、 喜びを感じて欲しい」という想いを伝えるという。
ニューノーマルの新たな需要開拓
 ナリス化粧品は、コロナ禍の早い段階から「おうち美容」需要へのフォローに力を入れてきた。

(続きは2022年5月5日号参照)