消費者委員会WG ジャパンライフ事件も検証、8月に中間報告

不当収益はく奪・被害救済、有効策を議論
 悪質事業者の不当収益をはく奪し、被害者の救済につながる有効策の検討を目的に、消費者委員会は3月29日、 下部会である「消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループ」(以下検討WG)で議論をスタートさせた。国内外の現行制度を参照・整理するとともに、 多数の被害者を生じた大型事件を検証。8月に中間とりまとめを行った後、来年2~3月の最終報告提出を目指す。報告書は継続的検討につなげるための第一段階に位置付けるとしている。

消費者庁の議論13年でストップ
 検討WGは過去2度、報告書を作成。このうち、消費者法関連のルールのあり方や実効性確保の有効策などに焦点をあてた第一弾報告書(19年6月)では、 悪質商法に対する行政対応の徹底化を盛り込み、各業界の自主的な取り組みや民事ルールによる救済の限界、諸外国に比べた不当収益はく奪・制裁金制度の整備の遅れを指摘していた。
 一方で、その後も悪質な販売預託商法や詐欺的な投資勧誘といった悪質商法が起き、多数の消費被害が生じていることを消費者員会では問題視。特商法および預託法が昨年改正された一方、 悪質商法全般の被害回復の実効性確保の議論は、消費者庁においても、景品表示法の課徴金導入につながった「消費者の財産被害に係る行政手法研究会」の報告書(13年6月)以降、 具体的進展がないとみなす。
 このため現行の制度・課題の分析・整理によって、第一弾報告書における提言を掘り下げ、運用の向上や改正の検討に繋げることを目指す。
 検討WGの構成員は消費者委員会委員3名が就任。座長に早稲田大学大学院法務研究科教授の後藤巻則氏を選出した。後藤座長は、昨年9月の第7次委員選出で2度目の委員を担当。 1度目の委員の際は、15年の「特定商取引法専門調査会」で座長を務め、業務禁止命令の新設や最長24カ月の業務停止命令、立入検査権限の強化などにつながった報告書をまとめた。

(続きは2022年4月14日号参照)