MLM最前線 米FTC 虚偽のマネーメイキング・クレーム、規制草案を公表

焦点は収益開示ルール、民事制裁で被害回復へ
 虚偽の儲け話を規制する新ルールを策定するため、米FTC(連邦取引委員会)は2月17日、ルールの草案を公表した。適用対象に想定するのは、 MLMのほかギグ・エコノミー′nのプラットフォーム運営業者、営利目的の大学など。自社の事業に取り組むことで参加者が得られるとする収益について、 開示データの正当性の立証手順や免責事項のあり方などを定め、誤解を招く収益の開示を抑止する狙い。ルール違反にはFTC法に基づく民事制裁を科し、 被害者の救済に充当する。

ルール策定の権限与えた第18条活用
 草案は、収益表示の使用に関する取引規制ルール(Trade Regulation Rule on the use of Earnings Claims)。 ANPRと呼ばれる、重大な規制に結び付くルール案の事前告知手続きに則って公表された。60日間のパブリックコメントを実施した後、運用を始めたい考え。
 FTC法は第5条で不公正・欺瞞的な行為・慣行を禁止。さらに、それら行為・慣行の特定・明確化を目的としたルールを定める権限を第18条でFTCに与えている。
 一方、ルール策定には一般から意見募集を行うことや、対象に想定する分野で問題の行為・慣行が横行していると証明する必要がある。
 新ルールで規制するのは、誤解を招いたり明確な根拠のない収益の開示やマネー・メイキング・クレーム(MoneyMaking Claims)。 FTCによれば、フランチャイズやビジネス・オポチュニティ、電話勧誘販売といった個別の業種業態を対象とする収益開示ルールはすでに存在するものの、 「適用範囲が限定的」という。
 新ルールが成立した場合、違反を知りながら虚偽の開示を行った場合は、違反1件あたり最大4万3792ドル(約500万円)の罰金を科す。 また現在は、罰金を原資とした被害救済をFTCが行う明確な根拠が存在しないことから、新ルールの中で整備する。

免責事項・ライフスタイル表示も対象


(続きは2022年3月24日号参照)