消契法・特例法の改正案を提出 取消対象 退去困難な勧誘、連絡妨害を追加

特例法は 慰謝料の請求や個人の提訴、可能に
 昨年、有識者会議の報告書で見直しの方向性がまとめられていた消費者契約法と消費者裁判手続特例法について、消費者庁は3月1日、改正案を国会に提出した。 成立した場合の施行時期は、消契法が公布から1年を経過後、特例法は公布から1年半以内。消契法は、不当な勧誘等が行われた契約の取り消しルールを強化するとともに、 無効な免責条項の範囲の拡大、事業者の努力義務の拡充を行う。特例法は、特定適格消費者団体による被害回復訴訟で慰謝料も請求できるようにするほか、 個人の提訴を可能とする。和解の条件緩和・早期決着などにつながる改正も行う。
 消契法は、契約の取り消しが可能な困惑類型を定めた第4条第3項において、〝勧誘することを告げずに退去困難な場所へ同行し勧誘する〟〝威迫する言動を交え、 相談の連絡を妨害する〟〝契約前に目的物の現状を変更し、原状回復を著しく困難にする〟行為を新たに類型へ追加する。
 第8条において定める無効な契約条項の類型は、消費者からの賠償請求を困難にする不明確な一部免責条項を無効とするルールを追加。これにより、 免責される過失を軽度の場合に限らず〝法令に反しない限り〟といった条件で賠償に応じるなどする条項を禁じる。
 努力義務の拡充対象は①解約料の説明②契約解除に必要な情報提供――の2つ。①は、損害賠償の額や違約金の算定根拠の概要について消費者から説明を求められた場合、 説明に努めなければならない規定に、契約を締結する際だけでなく事業者から支払いを請求する際も含める。
 ②は、勧誘時の情報提供において「総合的に考慮」するように努めなければならない情報の対象に、現行法が定める消費者の知識・経験だけでなく「年齢」「心身の状態」も加える。 ただし、考慮の努力義務が求められるのは事業者が年齢等を知ることができた場合に限る。

(続きは2022年3月17日号参照)