ダイレクトセリング化粧品 高まる「女性の活躍推進」への機運
ポーラでは、コロナ禍を背景に海外市場や国内ECの売上が伸長している。一方、主力の委託販売チャネルにおいては、店舗の臨時休業、閉鎖などで苦戦している。 同社は、社会の変化を踏まえ、ダイレクトセリングを生かした柔軟な販売チャネルの設計、利便性向上を図っている。 特に、ECやオンラインツールでポーラに接触した顧客を、リアルチャネルに接続する取り組みを強化している。現在、約2.3万人のビューティーディレクターが、 時代に即したかたちで活動できるよう、「女性の活躍推進」という視点も含めた仕組みづくりを行っている。委託販売におけるオンライン決済・直送を導入したほか、 ビューティーディレクターのオンライン活動が収入に反映される仕組みを整備。 また、昨年から行っている「法人設立」モデルによって販売員のプロフェッショナル化をさらに進め、事業の持続可能性を強化。さらに、グループ横断研修や、 次世代リーダー育成プログラムといった後継者育成の制度も用意しており、ビューティーディレクターを「美容のプロ」として位置づけ専門性を高めるとともに、 事業を継続できる体制を構築して、さまざまな角度から「女性の活躍」をグループ全体で推進している。
このほか、近年さまざまな分野で取り組みが強化されている「ジェンダー平等」に関して、ジェンダー課題に関心を持つ15歳~29歳までの若者に対し、 ジェンダー課題を体系的に学び一緒に取り組める仲間と出会う場を5月から提供を開始する。任意団体「GENCOURAGE」主催のサードプレイス 「ジェンカレ」に協力する取り組みで、講義では、「ビジネスにおける女性のリーダーシップ」に関する講座では、同社の及川美紀社長が登壇する。
このほかにも、シーボンでは、2013年12月にES向上推進室を設置し、社員の声を聞きながら積極的な制度の活用とお互いをサポートし合う社内風土づくりを行っている。 これまでの主な取り組みとしては、ショートタイム正社員制度、定年延長、ウェルカムバック制度、シーボンファミリー・デイの実施、社内報でのロールモデル紹介、 セカンドキャリア研修など。これらの制度によって、育児休業取得率は2020年度は98.4%、勤続年数は同10.2年といずれも向上している。
同社は、「女性の活躍推進」が社会的に注目される15年以上前から、産前休暇以外の制度について、男性社員にも同じ制度の適用を行ってきた。 2017年には、育児と介護に関わる人のための両立支援を目的とした「サポートブック」を作成するなど、一般社員だけでなく、管理職の理解を深める教育を行い、 環境整備に努めてきた。これらの取り組みは社会的にも評価され、2018年12月には、「forbes japan women award」、2020年2月には、 「大阪市女性活躍リーディングカンパニー優秀賞」をそれぞれ受賞した。
女性をメーンターゲットとした取組みだけでなく、男性を対象としたより働きやすい環境整備にも努めている。2020年6月には、 男性の育児休暇取得者増を目的とした「パパブック」を作成。男性育休取得の現状や育休取得の必要性、育休取得のメリット、育休取得の準備、 育休取得体験者談などを掲載し、女性だけでなく男性の働き方改革にも力を入れている。それら結果、2020年度の男性育休取得率は20%で、 取得者のうち3分の2が3カ月の育休を取得した。 また、別の視点で見ると、製品開発にも男性、女性という枠組みにとらわれない動きもみられる。2月10日には、 ドラッグストアなどで展開するナリスアップブランドにおいて、ジェンダーフリーの肌荒れ・肌悩みに対応する薬用ブランド「アクメディカ」から、 初めてのUV乳液「アクメディカ 薬用 UVミルク」を発売した。また、角層ケアブランド「ネイチャーコンク」シリーズは、 発売当初は30代女性をメインターゲットとするブランドだったが、現在は、マスク着用による肌荒れの悩みに対応するニキビ予防の効果も追い風となり、 カップルや家族で使用するユーザーも増加している。さまざまな層に使用者が広がっており、「ジェンダーレスブランド」「エイジレスブランド」となりつつある。
(続きは2022年3月17日号参照)