書面電子化WTが最終ヒアリング

ウォッチねっと…勧誘過程の録音、受信確認義務を提案

川口設計…消費者の能力「ネットバンキングと同レベル」必要

 改正特定商取引法の政省令における「書面電子化」運用ルールの策定を目指している、 消費者庁の「特定商取引法等の契約書面等の電子化に関する検討会」は3月3日、オンライン開催した第7回ワーキングチーム(以下WT) で関係団体・組織2カ所をヒアリングした。WTは今回が最終となり、ヒアリングを行った団体・組織は計19カ所となった。 今後は、春に検討会としての意見をとりまとめた後、夏の政省令案公表を目指す。

IT習熟度の事前確認、提案
 第7回WTに出席した団体・組織および意見者は、①全国消費者行政ウォッチねっとの拝師徳彦事務局長、山田英郎幹事、石川浩一郎事務局次長、 ②株式会社川口設計の川口洋代表取締役。
 ①は、書面電子化施行の時期が1年延長された経緯や、消費者保護の観点から丁寧な議論を求めた参院の附帯決議を踏まえた政省令の策定を要求。 訪問販売やWEB勧誘形式を含む連鎖販売取引などの〝直接勧誘型〟〝利益誘導型〟の取引類型では、「事業者による強い誘導の結果、 消費者の選択肢が極めて限定される傾向にある」「デジタル化のメリットが少なく、行き過ぎた勧誘によるデメリットが目立ちやすい」と指摘した。
 その上で、消費者の電子機器・データの取り扱いに関する習熟度を事前に事業者が確認することを提案。 テストデータを消費者に送って閲覧・保存してもらい、その旨を事業者へ電磁的方法で連絡させるべきとした。 電子書面に含まれる契約内容の重要性や交付がクーリング・オフの起算点となることの説明義務を課すことも求めた。

画面チェックは真意有無に「疑義」
 〝直接勧誘型〟の取引類型における承諾は、紙の書面による取得と控えの交付を提案。画面上でチェックさせる方式だと、 本人確認や真意の有無の観点から「後日疑義が生じる可能性がある」とした。
 さらに、承諾の真意の担保や事業者による誘導・手助けがないことの証明のため、勧誘開始から承諾取得までの過程の録音義務を提案した。 義務化にともなう事業者負担については、〝デジタル技術の進展で録音データの保管・管理は容易〟 〝多くの事業者が電話のやりとり等を自主的に録音しており、事業慣行になりつつある〟などとした。

(続きは2022年3月10日号参照)