ダイレクトセリング化粧品 新規顧客の導線がカギ

リアル・デジタル施策の接続ECやアプリサービスなど充実図る
 2年以上続くコロナ禍の中で、ダイレクトセリング化粧品市場はリアル・デジタルの融合が進んだ。リアル施策の代表格とも言えるサロン展開については、 コロナ禍に伴う緊急事態宣言等によって、臨時休業を余儀なくされたが、厳しい時期を乗り越え、ニューノーマルに対応した環境を整えて事業を継続している。 一方、ECなど非接触型の販売チャネルが消費者のニーズを掴み、新規顧客へのアプローチとして注力する動きが活発化している。 現在、各社は主力チャネルである対面販売のテコ入れを行いつつ、多様化・細分化した消費者ニーズの掘り起こしを目的に、 デジタルツール等とサロンなどリアルチャネルとの連動に向けた施策を強化している。

▲公式アプリでリアルへの導線を確保(ポーラ)
対面販売の不調 オンラインで補う
  ダイレクトセリング化粧品最大手のポーラは、2021年12月期において、コロナ禍前の水準には戻っていないものの、増収増益を達成した。 緊急事態宣言等で人流の増減がある中、売上を大きく伸ばしたのは海外や国内ECといったチャネルだ。ポーラブランドの売上構成比をみると、 主力の委託販売チャネルは68.4%で7割弱を占めたが、前期比では5.3ポイントと大きく低下した。同チャネルのメーン接点であるショップは、 553店舗減の3227店店舗で、このうちポーラ・ザ・ビューティーが同48店舗減の588店舗と600店舗を割った。購入単価は、前期比1.5%増と回復したが、 顧客数は同5.0%減。2020年12月期では顧客数が26.0%減と大きくマイナスだったことを踏まえれば縮小幅は縮んだものの、 コロナ禍で冷え込んだ来店ニーズは回復していないようだ。
 これに対し、国内ECは、売上構成比は5.0%と全体に占める割合は小さいものの、前期比1.6の上昇。売上伸長率では、49.8%増と大幅に伸びた。 その他のチャネルをみると、海外は売上構成比が18.8%(+3.4ポイント)、売上伸長率が24.6%増、百貨店・BtoBは売上伸長率が7.8%(+0.3ポイント)、 売上伸長率が6.8%増となっており、委託販売チャネルの不調が目立つかたちになった。
 ポーラは現在、多様化が進む消費者ニーズに合わせ、ダイレクトセリングを生かした柔軟な販売チャネルの設計、利便性向上を図っている。 特に、ECやオンラインツールでポーラに接触した新規顧客(見込み含む)を、サロンをはじめとするリアルチャネルに接続する取り組みを強化している。 昨年11月には、公式スマートフォンアプリ「PORTAL by POLA」の提供を開始。同アプリでは、ポーラの研究知見が裏付ける情報をベースに、地域や季節、 肌悩みなどに応じた美容情報、多様な視点から身の回りのさまざまな物事の本質を探るライフスタイル、アートやカルチャーなど計100以上のコンテンツを配信している。 また、店舗の検索、お気に入り店舗で実施をしているキャンペーンやイベントなどの情報発信・申し込みなど、店舗体験への利便性を高め、 デジタルからリアルへの導線確保に努める。また、委託販売におけるオンライン決済・直送を導入したほか、 ビューティーディレクター(BD)のオンライン活動が収入に反映される仕組みを整備。減少するショップ数、BD数に対しては、 昨年から行っている「法人設立」モデルを推進し、販売員のプロフェッショナル化をさらに進め、事業の持続可能性も強化していく。顧客のリピートだけでなく、 BDの離職率低下、組織としての顧客管理を行っていくとしている。サロンにおいては、1月にエステメニューを刷新したほか、 フルリニューアルした最高峰ブランド「B.A」やヒットアイテム「リンクルショット」など、高付加価値ラインナップを前面に押し出し、独自性を打ち出す構え。
クラファンでトレンド関心集め
 シーボンは、オンラインの無料カウンセリング「シーボンオンラインビューティ・アドバイス」を実施し、デジタルとリアル施策の接続を図っている。

(続きは2022年3月3日号参照)