ダイレクトセリング化粧品 回復傾向もコロナ禍前届かず

リアルデジタルの融合進む 新規顧客接点でオンライン強化
 日本国内では、3回目のワクチン接種が本格化しつつあるが、オミクロン株による感染拡大は収束しておらず、依然として予断を許さない状況が続いている。 冬の時期を乗り越えれば爆発的な感染もおさまり、社会経済活動が活性化することが期待されている。ダイレクトセリング業界の化粧品分野においては、 感染防止対策を徹底したサロン営業やIT活用のカウンセリングなど、ニューノーマルに対応したビジネスモデルを整備。 コロナ禍が収束した後のアフターコロナを見据えた「次の一手」についても取り組んでいる。コロナ禍によって多様化した消費者ニーズを敏感に汲み取り、 従来以上に細やかに対応できる商品・サービスの提供が急務となっている。

店舗数大幅減EC売上が伸長
 ポーラ・オルビスホールディングスの2021年12月期は、連結ベース売上高が前期比1.3%増の1786億4200万円と増収に転じた。 損益面は、売上原価率が同1.0ポイント上昇の16.0%、販管費率が同0.7ポイント低下の74.4%となった結果、営業利益は同22.8%増の168億8800万円、 経常利益は同50.8%増の189億6800万円、当期利益は同153.3%増の117億3400万円となった。コロナ禍の影響が直撃した2020年12月期と比べ、 売上・収益ともに回復したが、売上高2000億円台を確保していたコロナ禍前(2015年~2019年)の水準には戻っていない。
 事業別の実績をみると、ポーラブランドを含むビューティケア事業は売上高が同1.5%増の1741億5000万円、営業利益が同31.6%増の170億6000万円となった。 このうち、ポーラブランドは売上高が同2.2%増の1051 億6800万円、営業利益が同49.8%増の163億7400万円となった。
 売上構成比は、委託販売チャネルが68.4%で同5.3ポイント低下、海外が18.8%で同3.4ポイント上昇、国内ECが5.0%で同1・6ポイント上昇、 百貨店・B TO Bが7.8%同0.3ポイント上昇した。各チャネルの売上伸長率は、委託販売チャネルが前期比5.2%減となった一方、海外が24.6%増、国内ECが49.8%増、 百貨店・B TO Bが6.8%増となった。コロナ禍の影響で、人との接触が多い委託販売チャネルが緊急事態宣言等解除後も苦戦が続いた。一方、非接触のEC、 国内に比べて回復が早かった海外の伸長が目立った。
 委託販売チャネルは、ショップ数が3227店店舗で前期比553店舗減と、大幅な減少となった。PB(=ポーラ・ザ・ビューティー)店舗数が588店舗で同48店舗減と、 主力のPBをはじめ、厳しい状況が続く。購入単価は、前期比1.5%増と回復したが、顧客数は同5.0%減となった。2020年12月期では、 顧客数の増減が前期比26.0%減と大きくマイナスだったことに比べ、縮小幅は縮んだ。一方、海外店舗数は132店舗で同22店舗増と好調に推移した。

(続きは2022年2月17日号参照)