ダイレクトセリング化粧品 リアル・デジタルの融合進む

〝おこもり美容〟需要の開拓 訪問サービスや動画配信など
 コロナ禍の中、ダイレクトセリング業界の化粧品分野では、サロンを軸とした対面販売を主力としつつ、ECなど新規顧客にアプローチしやすいチャネルとの融合が進み、 リアル・デジタル双方のメリットを活かした施策が加速している。サロンでは、安心して来店できる環境の整備や新メニュー、オンラインカウンセリングを導入するとともに、 自宅でエステを提供するなど、顧客のニーズに柔軟に対応できる体制へシフトを進めている。国内外で変異株が猛威を奮っており、コロナ禍の収束は依然として不透明な状況にある。 各社はニューノーマルに対応した商品・サービスの開発によって、アフターコロナに続く「次の一手」の構築を急いでいる。

コロナ禍の影響依然大きく
  表は、本紙が2021年12月に実施した「第71回ダイレクトセリング実施企業売上高ランキング調査」をベースに、 化粧品を主力商品とするダイレクトセリング(=DS)企業42社の直近実績をまとめたもの。42社のうち、ヤクルト本社は単体ベースの化粧品事業の売上高を「前期売上高」として掲載している。 直近業績の増減率をみると、「増収」が8社、「横ばい」が10社、「減収」が24社となった。2021年7月に実施した前回調査では、42社のうち、増収が5社、横ばいが14社、 減収が20社となっており、今回の調査では増収企業が増加した一方で、減収企業も増えており、依然としてコロナ禍によるダメージが大きいことを窺わせる。
 42社のうち、エステサロンや地域密着型の店舗といったビジネスモデルを展開している企業は19社となっており、約45%の企業がサロンビジネスを導入している。
 従来型訪販から進化した対面型のカウンセリング販売として20年以上にわたって業界に行き渡ったサロンビジネスは、ドア・ツー・ドアなど従来の手法によるアプローチが困難な時代に、 立地に合わせた手法でカウンセリングやエステ、商品販売を行う「見える化」の施策として登場し、シーボンやCPコスメティクス、 ワミレスコスメティックスといった老舗化粧品企業が先駆けとなって業界に定着してきた。2000年代に入ってポーラが大規模なサロン展開を推進し、 全国に「ポーラザビューティー(PB)」をはじめとする拠点網を構築。また、ナリス化粧品がセルフエステサロン「デ・アイム」を独自に展開するなど、 社会構造の変化や女性の価値観の多様化に合わせて、顧客接点のあり方を柔軟に変えてきた。この流れに沿ってサロンビジネスを取り入れる企業が大幅に増加し、 新規ユーザーの間口を広げる施策として業界に定着した。
 コロナ禍において、「人と人の接触による感染リスク」という事態が発生したことで、サロンは一時的に休業を余儀なくされた。2020年春先に最初の緊急事態宣言が発出され、 サロンという密閉した空間での施術や接客は躊躇されたが、その後はサロンで十全な感染防止対策を講じて安全性を確保し、営業を継続している。 コロナ禍の中で、オンラインによる事前カウンセリングやバーチャルメーク、ビデオ会議ツールを用いたイベントや講習など、デジタル・リアル双方のメリットを活用した施策が相次いで導入され、 時代の変化に柔軟に対応する動きがみられる。

コロナ禍の影響依然大きく
 業績面では、これまで堅調に業績を伸ばしてきた企業がコロナ禍の影響を受けた。サロンビジネスや海外展開、シワ改善美容液など多方面で業界をけん引してきたポーラは、直近業

(続きは2022年1月20日号参照)