第71回ダイレクトセリング実施企業売上高ランキング調査 3.3%減の1兆3889億円に
本紙が2021年12月に実施した「第71回ダイレクトセリング(DS)実施企業売上高ランキング調査(対象・DS=訪販・MLM企業)では、 調査企業124社(小売ベース60社、卸ベース64社)の小売ベースの売上高総額は1兆3889億4700万円で、前期比3.3%減となった。 2021年7月の前回調査時比でマイナス幅は0.1ポイント縮小した。一進一退の状況が続くコロナ禍は、DS業界にも大きな影響をもたらしている。 一方、コロナ禍下の2年間を経て、各社はリアル・デジタルを駆使したハイブリッド型の新しいビジネスモデルの構築を進め、 ニューノーマル時代の新たな需要開拓に乗り出している。
回答企業を販売形態別(グラフ1参照)にみると、訪販が62社、MLMが54社となった。この2分野で回答企業の93.5%を占めた。売上ベースでは、 訪販が6927億8900万円、MLMが5932億4700万円。9小売・卸ベースともに上位の企業ついては表1および2に掲載。 小売ベース11位~60位、卸ベース11位~64位については2面に表を掲載している。前期売上で増収率が高かった企業についても、上位10社について2面でまとめている。 小売・卸ベースの上位企業20社(表1・2参照)では、20社中6社が増収を達成した。
訪販系企業では、ポーラは、前期はコロナ禍の影響を受けて大幅なダウンとなった。直近の2021年12月期第3四半期では、 前年同期比5.8%増の771億4600万円と盛り返しているが、コロナ禍前の水準には戻っていない。主力の委託販売チャネルでは、 リニューアルした「リンクルショットメディカルセラム」がヒット。売上伸長率では、国内ECが同59.1%増と伸びたほか、海外が同38.3%増となった。 同社は、「ポーラ・ザ・ビューティー」などのサロン展開でオンラインを活用したサービスを積極的に導入したほか、 公式アプリをリリースしてデジタル施策を強化した。
他の訪販化粧品系企業においても、リアル・デジタル双方を活用した施策がみられる。昨年春は緊急事態宣言発出でサロン等の休業を強いられ、 異業種とのコラボレーション、商業施設での体験イベントなど新規顧客への重要なアプローチ施策が軒並み打撃を受けた。現在は感染防止対策を講じつつ店舗を営業し、 イベント等も感染状況の推移を踏まえながら徐々に再開する動きがみられる。 同時に、オンラインカウンセリングや接触の少ない施術を導入してニューノーマル対応の環境を整えたほか、ECチャネルの強化や訪問エステといったサービスを導入。 商品政策では、「マスク荒れ」「目元メーク」などニューノーマル対応の新商品を開発し、それらの使い方を動画配信して訴求するなど、 目に触れやすい方法での訴求を強めている。
他の訪販系企業では、日本トリムは、前期(2021年3月期)で苦戦したが、直近の9月中間期連結は、 整水器や浄水カートリッジを販売する「ウォーターヘルスケア」事業の売上高が前年同期比13.8%増の74億7300万円、 セグメント(営業)利益が同2.1%増の11億3100万円だった。
(続きは2022年1月6日号参照)