消費者相談のデジタル化

WEB経由の相談受付、今冬より実証実験 地方公共団体の協力で、標準ガイドライン作成

  コロナ禍を受け、消費者相談の現場でも始まろうとしているデジタル化。その初手として、消費者庁が21年度で、相談体制のデジタル化を使途する予算を計上。 相談員のテレワーク環境の整備等に乗り出しているが、あくまで臨時的措置の域にとどまっていた。
 デジタル化を目指した俯瞰的な議論は、同庁と国民生活センターが立ち上げた「消費生活相談デジタル化アドバイザリーボード」 (座長=庄司昌彦武蔵大学社会学部教授)で5月にスタート。これまでに5回の議論を重ね、9月に中間まとめを公表した。
 この中で、高齢化の更なる進展や労働人口、財政規模の縮小なども視野に、今後数年〜10年単位で取り組むべきロードマップを提示。 まず今冬より、デジタルを活用した消費者相談の受付・処理の「実証実験」に乗り出す。
消センの8割はアナログ経路
 デジタルを介した消費者相談対応は、コロナ禍以前より試行されてきた。一例が、消費者庁の徳島オフィス(消費者庁新未来創造戦略本部)で、 LINEを使った若者向け消費者相談を19年12月〜20年1月に期間限定で実施。一定の成果が得られたとして、昨年11月〜今年1月に2度目の試行を行っている。
 ただ、相談現場全体としてはデジタルを介した相談対応は遅れているのが現状。国センが昨年10〜11月にアンケートし、 全国716カ所の消センから回答を得た「ICT(情報通信技術)」利用相談の受付状況によると、8割の消センは依然、電話や来訪、文書、 FAXといったアナログ的経路のみで相談を受け付けていた。
 「ICT」を利用していると回答した残り2割も、メールやWEBフォームによる受付が中心で、WEB会議システムやSNSで受け付けているところはわずかだった。
会議システムやマイページで受付
 このような状況も踏まえ、今冬からの実証実験では、WEB会議システムや専用のマイページ≠介したオンライン相談受付を検討。 混乱を防ぐため予約制の採用などを予定する。試行に参加するのは、協力が得られた10カ所近い地方公共団体で、 CRMシステム等の活用による相談業務の効率化なども検証する。

(続きは2021年10月28日号参照)