消費者契約法の見直し取消権の強化 困惑類型の脱法防止規定、拡大を提案

「心理状態」「判断力低下」も有力候補に

 19年12月より、消費者契約法改正の方向性について議論していた消費者庁の「消費者契約に関する検討会」(座長=山本敬三京都大学大学院法学研究科教授)は、 9月7日の第23回会合で最終報告案をまとめ、同21日よりパブリックコメントの受付を開始した(10月21日まで)。 18年改正の附帯決議で指摘された積み残し課題について、実務的観点から検討を進めていたもので、困惑類型の脱法防止規定は、 威迫等によって勧誘離脱を妨げる行為などを新たに対象とすることを提案。追加する取消権は、検討する時間を制限して焦らせるといった心理状態につけ込んだ契約や、 判断力の著しい低下につけ込んで生活を成り立たなくさせる契約などを有力候補にあげている。
 困惑類型の脱法防止規定に関し考えられる対応については、現行法が定める「不退去」「退去妨害」「契約前の義務実施」 「契約前活動の損失補償請求」に形式的に該当しないものの、実質的に同程度の不当性を有する行為を想定。
 〝その場で勧誘から逃れようとする行動を消費者がとることを困難にする行為〟を類型化することで、事業者の威迫(威力)による言動、偽計を用いた言動、 執拗な勧誘を対象化する案を示した。
 一方で、正常な事業活動が妨げられないように、対象行為をある程度具体化したり、正当な理由がある場合を除く規定の必要性にも言及した。
 また、現行法における経験不足による不安をあおる告知、経験不足による好意の感情の誤信に乗じた関係の破綻の告知、 判断力低下による不安をあおる告知の3点に関し所謂「受け皿規定」を設ける案については、消費者の属性・心理状態が要件となる中、 消費者が有する合理的判断ができない事情が判断の対象となるものの、「そのような事情は多様であって受皿となる脱法防止規定を設けることは困難と考えられる」とした。
(続きは2021年10月14日号参照)