DS化粧品 オンライン活用のサロン展開

カウンセリングやワークショップ「自宅ならでは」のサービス提供

 ダイレクトセリング化粧品分野では、事業の要と言えるサロン展開が、コロナ禍によって大きな打撃を受けた。昨年の1回目の緊急事態宣言では、 ほぼ全面的に臨時休業を余儀なくされ、業績に影響を与えた。宣言解除後は店内での感染防止対策を徹底した上で再開したが、 人との接触をできるだけ避けたい消費者心理などもあって、来店者数減などに悩んだ。その後は、店内における対策に加え、オンラインでのカウンセリングや、 接触が比較的少ない新メニューの開発など、ニューノーマル対応の施策を展開してきた。コロナ禍を契機に変化した消費者の価値観やニーズを踏まえた、 新しいサロンのあり方について、各社は模索を続けている。

▲複数人が参加するオンラインワークショップ
   も開催(ポーラ)
月間2千人以上がサービスを利用
 DS化粧品最大手のポーラは、2020年6月から全国のポーラショップ、一部の百貨店カウンターでオンラインカウンセリングを導入している。 コロナ禍によってサロン営業が大きく制限された当時、エステやタッチアップといった顧客の肌に直接触れる行為は全面禁止し、店頭での物販など、 最小限の営業活動にとどめた。他方で、〝ウィズコロナ〟を想定したサロン営業の構築も進め、オンラインによるカウンセリングをスタートさせた。
 サロンなどのショップでは、施術の前にカウンセリングや肌質チェックを行うが、同システムでは、対面で行ってきたカウンセリングをオンライン化し、 スタッフと顧客の接触時間を減らすことが目的。オンラインシステムは現在、約1600のショップで活用されており、 月平均で2100人の顧客にオンラインカウンセリングやワークショップを提供している。同社によると、開催後のアンケートでは、 満足度が90%以上、知人・友人への推奨度は80%以上となっており、好評を博している模様。
 オンラインカウンセリングでは、顧客とビューティーディレクターとの1対1のカウンセリングを行う。また、複数名が参加できるワークショップ、 新製品の使い方や季節ごとの美容法、家でできるマッサージなどを紹介するオンラインレッスンも提供している。 2021年からは、顧客同士のコミュニケーションも取り入れたモニター座談会形式での利用も行っている。いずれも事前予約制で、所要時間は約30分程度。 肌の悩みや理想の肌などをカウンセリングし、季節に合わせたお手入れやメーク、インナーケア、生活習慣といったトータルな美容アドバイスを行う。 また、エステのプレカウンセリングや、製品購入後のアフターフォロー、正しい使い方などのレクチャーもオンラインで行っており、 感染予防対策を目的とした店舗の滞在時間短縮だけでなく、さまざまな事情でなかなか外出できない女性でも利用しやすいなど、 利便性向上にも寄与しているという。

月間2千人以上がサービスを利用
 このほか、オンラインワークショップでは家で出来るお手入れやセルフマッサージ、メークの基本レッスン、 新製品の特徴紹介と使用法レッスンなどを複数名対象に行っている。参加者からは、「今日からすぐに取り入れられる食事のアドバイスやマッサージがあり、 勉強になった。話のスピードや声のトーンがちょうど良く、エステにも行ってみたいと感じた」「〝いいね〟スタンプを使うことで、意思疎通ができた。 製品の使用法レクチャーの際、実際に部位を示すなど、見やすいように工夫されていてよく分かった。 店舗に行ってもじっくり商品を試したり説明を聞いたりすることができない状況なので、 使い方や商品特徴など知れて良かった」といった感想が寄せられているという。 同社は、参加者の意見などを踏まえてオンラインコンテンツをブラッシュアップしているほか、今年から「オンライン強化研究会」を発足し、 店舗同士での情報交換やアドバイス、オンライン接客スキル向上のための研修、オンライン接客コンテストを実施してフィードバックを行うなど、 接客技術・体験価値向上を図っている。

▲28日間のオンラインスキンケア
   モニター(ナリス化粧品)
〝顧客の日常目線〟がオンラインの強み
 ナリス化粧品では、2021年1月21日から、自宅に1カ月分のスキンケアセットが届き、 専属の美容部員がオンラインでカウンセリングを行う「オンラインスキンケアモニター」(税込3300円)のサービスを行っている
(続きは2021年10月14日号参照)