訪販協が「書面電子化」ヒアリングで 承諾取得、メールフォーム方式を提案
高齢者対応策…親族等へも電子交付、「自主規制が馴染む」
「ファイルへの記録」…解釈明確化を要請、ク・オフ起算日を左右
この下部会として、関係者・組織にヒアリングを行うワーキングチーム(以下WT、主査=鹿野菜穂子慶大大学院法務研究科教授)を立ち上げ。 8月31日に第1回会合を開催した。ここでは日本消費者協会、日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会、主婦連合会の3カ所が、 要件の厳格化などを求める意見を述べている(9月9日号4面既報)。
このWTの第2回会合(オンライン形式)が9月27日に開催。訪販協のほかに全国消費生活相談員協会、日本弁護士連合会、高芝法律事務所が出席した (訪販協以外の3カ所のヒアリング内容は次号詳報)。
電子化に対する訪販協の考え方の大枠は、1月の消費者委員会ヒアリングで述べられてきたほか、法案提出直後の3月にも意見書で示されている。 が、電子化が決まった改正法の公布後では初めて。特に、重要なポイントである消費者の承諾のあり方については、意見書で具体的言及を見送っていた。
このような状況下、WTに出席した訪販協は、訪問販売員が携帯する端末を用いた電磁的交付を前提に、書面に氏名を書いてもらうなどして承諾を得る方法では、 デジタルを苦手とする消費者にも電磁的交付が行われてしまうリスクを排除できない可能性を指摘。
真意に基づく承諾を確保するという〝承諾の実質化〟のためには、消費者が保有する端末を消費者自身で操作してもらう電磁的承諾が有効として、 消費者から電磁的交付を希望された場合は、
①その場で消費者からメールアドレスを教えてもらい
②消費者の端末にメールフォームのURLを送信し
③URLからメールフォームで承諾の旨の送信を受ける
という3ステップによって同意を得る、メールフォーム方式の取得を提唱した
(図「真意に基づく承諾を確保する方法」参照)。
この場合、消費者からメールアドレスを聞く手続きや、受信したメールフォームを通じて承諾内容を入力してもらう手続きが必要。 このような手続きに応じることが難しい消費者には、電磁的交付が事実上困難になると想定した。WTで訪販協の小田井正樹事務局長は、 「メールを教えてもらうところが第一関門になる」「デジタルに不慣れな方はメールフォームで必要事項を入れて返信するところまで行きつかない」と述べ、 このアイデアに対する意見を今後のWTでデジタル専門家から求めたい考えを示した。 本紙の取材には「(紙による承諾は)むしろ間違いも起きやすいのではないか」「デジタルを苦手とする方は承諾が難しい仕組みとするほうが問題が起きにくい」 (小田井事務局長)とした。
メールフォーム方式の同意を補完する禁止事項には、消費者に代わって事業者が消費者の端末を操作することや紙による交付の有料化、 電子交付へのプレゼントなどを例示。必要条件には、メールフォーム内における電子交付に関する注意事項の記載をあげた。
さらに、デジタルを苦手とする場合が少なくない高齢者等の対応策については、電子書面の提供方法のあり方に関わり、政省令等で定める要件と、 業界の自主規制で取り組む対策の両面立てを提案
(図「電磁的方法による提供の方法」参照)。
(続きは2021年10月7日号参照)