都・消対審の不適正取引対策 ネット・デジタル被害の法執行、課題を議論

専門家の助言活用、「通報サイト」推進も

 東京都の消費者行政の基本指針を定めた5カ年計画「東京都消費生活基本計画(2018~22年度分)」の改定作業を進めている 東京都・第26次消費生活対策審議会は、8月31日にオンラインで開催した第2回検討部会(部会長=鹿野菜穂子慶應義塾大学大学院法務研究科教授)で、 インターネットおよびデジタル関連の不適正取引行為の排除に向けた課題を議論し、都側は専門家の助言制度や悪質な手口の通報システムの更なる活用を示した。
アフィリエイトは広告主認定に困難

 インターネット上における不当広告・表示への対処を中心に議論。関連の消費者被害の増加傾向に拍車がかかる中、 SNS・動画共有サイトなどにおける配信方法等の急速な複雑化もあって、誰にでもいつでも同一の広告・表示が表示されるわけではないため、 問題の広告・表示の再現、保存が難しくなっていることが、法執行上の課題にあがった。
 また、動画やオンラインゲームは、表示される内容が膨大かつ随時に変化するため、即時・継続的な対応が求められる点や、 アフィリエイトのように表示責任の所在が曖昧な広告についても、対処の難しさが指摘された。
 部会で都側は、これら課題の解消に向けた取り組みとして、悪質商法対策の現場で助言を得ている〝専門助言員〟の更なる活用に言及。 現在、法律家や建築家などから助言を受けている中、「インターネット広告の会社に専門的知識の助言を与えてもらう手もある。 あるいは職員として来ていただけたら有難い」とした。
 このほか、インターネット広告を継続監視する体制の構築や、国・業界団体等との連携強化をあげた。
 6月より、消費者庁の有識者会議で規制強化の検討が進むアフィリエイト広告については、現行の景品表示法では広告主の認定等で実務的困難などがあり、 これまでに都の措置命令実績はないことを説明。有識者会議の議論を踏まえ、法規制の方向性が早期に明らかとなることに期待を示した。
景表法の指導減少 背景にコロナ影響

 一方、都の景表法執行おいて、2020年度の「注意指導」の件数(355件)が前年比98件マイナスと大幅に減ったことをめぐり(表参照)、 要因を聞いた委員に対して、都側は、店舗店頭等における表示・広告の実態調査を委託する「消費生活調査員」の活動に「コロナ禍で一定の影響が出た」ことを説明。
(続きは2021年9月23日号参照)