ポンジスキーム事案で要請 行政主導の被害回復制度検討
ジャパンライフ事件等に代表される、破たん必至の詐欺的商法である「ポンジ・スキーム(PonziScheme、以下PS)」 事案における行政主導の被害回復制度を求めて、日本弁護士連合会は8月19日、消費者担当大臣と消費者庁長官へ意見書を提出した。 既存の法令では違法収益のはく奪や被害の回復が十分に図られていないため、国が裁判所の許可の下で賦課金の納付を命じ、 納付された金銭を被害者に分配できるようにしたり、国が破産手続き開始を申し立てられるようにするアイデアの検討を求めている。
意見書では、「PS」を「『利益の還元』や『配当』等を装い、多数の者から資金を集めるが、実際には、 それを運用する事業や運用対象となる物品が存在しないか形骸化又は著しく不足しており、 別の者から集めた資金の一部を他の者に分配する構造になっている詐欺的商法」と説明。新たに得られる資金には限界があるため、 最終的には破綻する。代表的事件にはジャ社のほかケフィア事業振興会、安愚楽牧場、MRIインターナショナル、豊田商事などがある。
日本に「PS」を正面から定義して規制する特別法はなく、主に刑法の詐欺罪、出資法、金融商品取引法、預託法、景品表示法、 特定商取引法で摘発されているが、被害回復はほとんど図られておらず、主謀者等の違法収益はく奪も十分に行われていない。 組織的犯罪処罰法に基づき没収・追徴可能な〝犯罪被害財産〟も、立件の難しさなどがハードルとなっている。
(続きは2021年9月2日号参照)