2020年度のPIO―NET相談件数

訪販…過去10年で最少、目立つ「電気」「水回り修理」

マルチ…前年比13%減、「投資・副業」「健食」が上位

 国民生活センターが8月5日までにまとめた、「PIO―NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)」における2020年度 (20年4月~21年3月)の消費生活相談情報の集計データ(5月末までの入力分、苦情のみ、グラフ参照)によると、 相談件数は「訪問販売」が過去10年で最少、「マルチ取引」が二ケタ減となった。構成比ベースで、訪販は電気や修理サービス、 屋根工事関連のトラブルが目立ち、マルチは投資・副業系、健康食品が上位を占めた。年齢別では例年同様、訪販は高齢者、 マルチは若者に集中する傾向が見られた。
訪販は4.8%減

 販売購入形態別の相談件数は「訪問販売」が前年度比4.8%減の7万5645件。件数として過去10年間でもっとも少なかった。 減少は2年ぶり。過去10年は11年度~18年度に8年連続で減らし、19年度に増加させていた。 なお、20年度以前に受け付けた相談が6月以降にPIO―NETへ入力されるタイムラグが存在するため、最終的な件数はこれより増加する見通し。

 「訪問販売」に含まれるアポイントメントセールス、SF商法、キャッチセールスを除いた「家庭訪販」としての件数は、 同0.8%増の4万9534件(販売方法に問題があると見なされた相談のみ)。
 家庭訪販の件数を構成比ベースで見た商品・役務の上位5品目は、①電気(構成比8.9%)②修理サービス(同8.8%) ③屋根工事(同8.7%)④他の役務サービス(同8.1%)⑤新聞(同7.8%)。
 16年に小売りが自由化されて以降、徐々に件数を増やしていた①が、前年度の3位から1位に浮上。構成比で0.8ポイント上昇した。 ①は電話勧誘販売やかたり商法、販売目的隠匿型商法でもトラブルの多さが目立った。
 2位の②は、〝水回りの修理を依頼したところ、広告表示を大幅に上回る高額な料金を請求された〟といったケースが多くみられた。
 一方、前年度に1位だった⑤は5位に急落し、構成比で1.3ポイント低下。前年度に2位だった放送サービス (多くがNHKの受信契約トラブル)は6位以下となった。

(続きは2021年8月26日号参照)