書面交付の電子化 消費者委員会が3団体ヒアリング
6月に公布された改 正特定商取引法の「書 面交付電子化」規定を めぐり、消費者委員会 は7月19日に開いた本 会議で、消費者団体な ど3カ所から電磁的交 付の要件のあり方をヒ アリングした。出席者 からは、今後策定され る政省令・ガイドライ ンに入れるアイデアと して、電子書面のマイ ページ保存、電子化の 前提となる承諾の様子 の動画撮影、親族等の 第三者の承諾過程への 関与を義務化する意見 などが出た。
出席した3団体は① 日本消費生活アドバイ ザー・コンサルタント ・相談員協会(NAC S)②日本司法書士会 連合会③消費者機構日 本。①は、7月30日に 初会合が行われる消費 者庁「特定商取引法等 の契約書面等の電子化 に関する検討会」に委 員参加している(7月 22日号4面記事参照)。
ヒアリングで、①の 金藤博子ICT委員長 は、書面がもつ契約内 容確認機能と保存機能 を電磁的交付でも維持 するため、メール添付 やダウンロードで交付 するだけでなく、クラ ウド上の「マイページ」 にも保存することを提 案。端末の交換・不具 合、メモリの空き容量 の関係で失われるリス クを回避し、長期保存 が可能になるとした。 マイページについては 表示方法の標準化や記 載場所の統一も提案。 ログインID、パスワ ードの圧着はがき等に よる郵送の義務付けも 求めた。
電子書面自体は、記 載項目を見出しにして 項目番号を押すとその 項目の詳細が出る統一 フォーマットを提案。 具体的には、 「事業者」 をクリック・タップし て出る項目として名称 ・住所・連絡先・担当 者名・メールアドレス を例示。「クーリング ・オフ」の場合は、注 意事項だけでなく電子 的ク・オフのURLへ のリンク、フォームに 飛ぶ仕組みを示した。
電磁的交付の承諾に 関しては、承諾を取る 時の様子を動画で撮影 ・保存させることを提 案。動画がなく、争い となった場合は、未承 諾とみなして書面不交 付となり、ク・オフ可 能とするルールを求め た。高齢者の所持端末 を操作して勝手にアド レスを作ることの禁止 も求めた。
動画撮影案には、消 費者委側から、撮影を 嫌がるケースや動画の 個人情報としての扱い の難しさを指摘する意 見が出た。
一方、ク・オフ電子 化に関連しては、社員 や担当者にメール等で 通知した場合もク・オ フの効果を認めること や、本人確認の名目で 事業者が身分証明書の 提示を求めることの禁 止などを提案した。
②の消費者問題対策 委員会委員は、承諾を 取得する際、消費者が 親族等の第三者と相談 する機会を確保する必 要性を指摘。政省令で、 第三者の意見を聴く機 会の確保とその旨の顧 客への説明を義務付 け、説明した記録の作 成・保存も求めるアイ デアを示した。
(続きは2021年8月5日号参照)