「書面交付の電子化」 業界の方針・賛否は? 本紙アンケート49社の回答集計

「電磁的交付」実施予定は?「検討中」が過半数、「行いたい」は3分の1
 アンケートでは、ま ず、改正特商法の電子 化規定が施行された後 (23年6月頃見通し)、
紙による交付に加え て、電磁的交付を行う かどうかを聞いた。
 集計の結果、もっと も多かったのは、有効 回答全体の過半数を占 めた「検討中/未定」 (26社、グラフ1参 照)。電磁的交付を 「行いたい/行う予 定」(16社)としたの は3分の1で、「行う つもりはない/行わな い予定」(5社)の11 %を上回った。
 記述式で聞いた、行 いたいとした企業の主 な理由は「業務負担の 軽減」「書面の保管ス ペースが不要で、情報 検索の向上などのメリ ットがある」「コロナ で対面を拒む人もお り、オンラインで交付 できれば会員も活動し やすい」など。

「ワンクリック承諾不可」賛否は? 3割が反対、「メールとリスク同じ」

 次に、電子化の前提 となる「消費者の承諾 取得」に関する賛否を 調査。
 改正法は、事業者が 電磁的交付を行おうと する際、消費者の承諾 を得ることを交付の条 件に定めた。この取得 のあり方をめぐり、消 費者庁は法案を審議し た国会で、メールで承 諾を得る方法を認める 一方、WEBページや タブレットPCで同意 欄をチェックしてもら う所謂「ワンクリック」 方式の取得は認めない 考えを示した。
 アンケートで、この 「ワンクリック」取得 を認めない方針に対す る賛否を聞いたとこ ろ、3割を占めた「反 対」 (14社)が「賛成」 (9社)の2割を上回 った(グラフ2参照)。 最多は「賛成とも反対 と も言えない」 (25社) で、5割を占めた。

「紙で承諾取得」賛否は? 46%が賛成、反対2割どまり

 承諾取得のあり方に 関しては、一定条件の 下、メール等の電磁的 方法ではなく紙で取得 を求める考えも示され た。国会で消費者庁が 示したのは、取引がオ ンラインで完結しない 分野(訪問販売や電話 勧誘販売などを想定) では当面の間、紙によ る承諾の取得を求め、 その控えを渡させると いう考え方になる。
 そこで、この方針の 賛否も調査。集計の結 果、46%を占めた「賛 成」(9社)が最多と なり、「反対」(9社)は2割にとどまった (グラフ3参照)。33%の「賛成とも反対とも言えない」(16社)も上回った。

被害の蓋然性考慮、賛否は? 反対は1割、4割が賛否保留

 紙で承諾を取得させ る考え方に関し、消費 者庁は、別の観点から も要件を厳格化する方 針を示した。具体的に は、取引がオンライン で完結する分野であっ ても、消費者被害を発 生させる蓋然性が高い 分野(「マルチ商法」 や転売ビジネスを想 定)の場合は、紙で承 諾の取得を求める考え 方を示した。
 これへの賛否は、 「賛成」(22社)が46 %を占め、前の説問と 同じ回答数、構成比と なった(グラフ4参 照)
(続きは2021年8月5日号参照)