カイアニジャパン トップインタビュー
カイアニジャパン(本社・東京都港区)の新しい社長に6月9日付で米アリッ クスのアジア担当ディレクターなどを務めた加藤嘉明氏が就任した。09年の開業 後、根強い愛用層を構築。一方で業績面は一進一退が続き、新規リクルートの活 性化などが課題となっていた。新体制では、中堅クラスのリーダーに対するサポ ートの強化、オンラインによる催しの充実などを推進。まずは、今期末の単月売 上2割増を目指す。加藤新社長に話を聞いた。 (インタビューはZOOMで7月9日実施)
加藤 嘉明 社長
―――社長就任の経緯を伺いたい。
「過去1年ほどは、 アリックスの米国本社 スタッフとして日本の 経営マネジメントに携 わっていた。これ以前 はアジア担当ディレク ターを務め、上陸して 3年ほどは日本の代表 も務めていた。アリッ クスに入る前は、共同 オーナーとして映像制 作会社を経営した後、 スターライズの米国法 人のマネージングディ レクターを務めた。 (カイアニから)声 がかかったのは昨年の 7月。アリックスに居 た時は、カイアニに限 らず色々な会社から話 をもらった。ただ、当 時は仕事を変わるつも りはなく、カイアニの 件もそこまで興味を感 じていなかった」
―――入社を決めた理由は。
「個人的経緯を言う と、給与に見合う労働 価値を提供できている のかという葛藤を常に 抱えていた。そんな中、 4月に身内の不幸があ り、家族のことや自分 の仕事のあり方を見つ め直す機会が出来た。 そこで、ステップアッ プの必要を感じた」
―――就任を考え始め た後、カイアニに対す る評価は。
「まず、飾り気がな く、実際より大きく見 せようとしない真摯な 対応に好感をもった。 ただ、日本の現状を見 ていくと、ずっと元気 がない。なんとかやっ てきているという感じ だった。そこからもう 一度、事業を立ち上げ、 作り直したいというの が本社の役員たちの意 向だった。それなら色 々なことができるはず と考え、興味をひかれ た。
また、アリックス時 代は3年ほどM&Aの 仕事も担当していたの だが、そこで交渉のテ ーブルにあがってくる 様々な会社を目にして きた。その経験も踏ま えて言うと、外から見 たカイアニは『昔の会 社』というイメージを 受けるかもしれない が、中を見ると会社の 基礎となる部分は非常 に大きなものがあっ た」
―――具体的には。
「一番は愛用者の厚 い層が存在すること。 トップリーダーを中心 に愛用者のお世話に特 化した非常に強固なチ ームを築いている。コ ロナ禍でよくここまで と感心するレベル」
―――会社の収益は。
「過去1年の売上は 横ばい。会社を維持す るだけの利益は出して いる」
―――活動会員数と売上は。
「具体的には控えた い」
―――今後取り組むべき課題は。
「新規登録の数が少 ない。平均年齢が50歳 代前半~半ばと高いこ とが一因だろう。新規 の購入単価も低い。商 品自体は適正価格で、 オートシップの客単価 はそれなりだが、新規 のリクルートから売上 が上がっていない。リ ーダークラスの会員は 高い士気をもつ一方 で、会社が明確なゴー ルを示せない現状への 不安も感じとれた。こ れらの点に筋道をつけ る必要がある」
―――課題の解決に向けた取り組みを伺いたい。
「現場の声を聞いて 会社との一体感作りに 役立てるため、リーダ ークラスに電話をかけ る部署を立ち上げた。 名称は『テレコム営業 部隊』。ちょうど昨日 (=7月8日)から稼 働している。人員は2 人。必要とあれば増やしていく
今の現場は、特に中 堅クラスのリーダーが アップラインから十分 なフォローを受けられ ないまま、各地に散ら ばって活動している。 会社のほうでも、トッ プリーダーとの連絡は 定期的なオンラインミ ーティング等でうまく 取れているものの、中 堅クラスの顔が見えて いないところがあっ た。数字を高めるとい う目標の前に、そのよ うな状況にあるリーダ ーたちのニーズや悩み をくみ取る、コミュニ ケーションの深化が必 要と考えた」
―――所謂カスタマーサービスとは異なる?
「電話をかける2人 は、もともとカスタマ ーを担当していた社 員。しかし部署の性格 は異なる。カスタマー に求められるのは適 切、適格な回答だが、 『テレコム営業部隊』 は明確な答えのない問 題を会員といっしょに 解決していく部署。今 は出張して対面で話を 聞くことは難しい。コ ストパフォーマンスと 機動力を見込める電話 のサポートに力を入れ ていく」
―――他に会員の支援策は。
(続きは2021年7月22日号参照)