東京都の「通報サイト」20年度受付状況

悪質商法関連は26%増、 824件で最多更新

コロナ禍で処分減少→行政指導にシフト
 「悪質事業者通報サ イト」(以下通報サイ ト)を運用する東京都 が6月25日までにまと めた2020年度の運 用結果によると、悪質 商法関連の手口、被害 に関する通報件数が前 年度を2割超上回り、 通報を端緒とした行政 指導の件数も大きく増 やした。悪質商法の通 報増は、詐欺通販サイ トやコロナ禍商法、住 宅リフォーム、水回り トラブル関連で増やし たこ とが影響した。指 導の増加は、コロナ禍 で行政処分のための事 情聴取等が難しくな り、法執行業務を指導 にシフトしたことも関 係した。

2/3が詐欺サイト関連
 通報サイトは13年の 開設。処分や指導、注 意喚起の端緒の入手ル ートとして、「PIO ―NET」や特定商取 引法の「申し出」制度 と並ぶスキームとなっ ている。寄せられた通 報は、消費生活部取引 指導課の「情報管理班」 で分析。この情報を、 法執行の実動部隊であ る「特別機動調査班」 5班と共有している。
 通報サイトの受け付 け件数は、悪質商法関 連で824件(グラフ 参照)。前年度比は26.0%増で、過去最多 を更新した。インター ネット広告や健康食品 ・化粧品の広告など、 誇大広告関連の通報も 27.8%増の170件 と増やした。未納料金 の支払い催促といった 架空請求関連は、35. 6%減の596件と大 きく減らした。
 悪質商法関連の通報 でもっとも多かった販 売形態は、415件だ った「通信販売」で前 年度比は21.7%増。 取引指導課によれば、 通販全体の約3分の2 を占めた詐欺サイト関 連の通報が「(19年度 より)100件近く増 えた」ことや、19年度 に十数件だったコロナ 関連の通報が五十数件 に増えたことが影響し た。
 主な通報は、詐欺サ イト関連が「代金を振 り込んだのに商品が届 かず、事業者と連絡が つかない」、コロナ関 連が「マスクを高額で 転売していて違法だ」 など。9%を占めた定 期購入商法に関する通 報は「(19年度より) 減らした」という。

水回りトラブル大幅増
 「訪問販売」関連の 通報は36.4%増の1 80件で、増加率で通 販関連を上回った。全 体の3割を占めた住宅 リフォーム関連と、14 %を占めた水回りトラ ブル関連が「大幅に増 えた」という。USB メモリーに入れた投資 用学習教材のアポイン トメントセールスも、 訪販全体の3割弱を占 めた。
(続きは2021年7月8日号参照)