コロナ禍のDS化粧品 業績面での影響色濃く
変異株が日本国内でも猛威を奮っている新型コロナウイルスの感染拡大。内閣府が発表した2021年1月~3月のGDP伸び率は年率換算でマイナス5.1%のマイナス成長となった。 ワクチンの集団接種が各地で始まっており、収束への期待感が高まっているものの、すべての人にワクチンが行き渡るまでは、行動が制限される中で社会経済活動で継続していくほかない。 ダイレクトセリング業界の化粧品分野においては、〝まん防〟や緊急事態宣言の発出に対応しながらサロン営業を継続している。同時に、ネット通販や〝おうち美容〟など、 コロナ禍によって変化したニーズに合わせた商品・サービスの開発、ウィズコロナ時代のビジネスモデルの構築を急ぐ。
同社は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、首都圏など都市部を中心に、直営店舗の臨時休業やイベントプロモーションなど新規集客活動の全面自粛を実施。緊急事態宣言下では、 経験豊富なフェイシャリストを臨時配置したり、送料無料キャンペーンの実施など通販部門の強化を図った。 同時に、SNSやアプリといったデジタルツールを活用した動画配信を行い顧客とのコミュニケーション強化を行った。
商品政策としては、サロンケア用の美白シートマスク、クレイ配合の洗顔料、期間・数量限定のサロン用セットなどを展開したほか、 ECをはじめとした新販路開拓に向けた化粧品・健康食品を投入した。店舗政策では、ヘアーサロン「ニーフ」の2号店を東京・恵比寿にオープン。 炭酸ヘッドスパなどを提供しているほか、会員向けのオーダーメイドウィッグのアフターサポートも行う。 サロンのコロナ対策として、ストレス解消を目的に1/fゆらぎのBGMを導入したり、中国の民間療法「かっさ」を応用した非接触型のサロンメニューを開発。 さらに、顧客フォロー施策として「シーボン オンラインビューティ・アドバイス」を導入したほか、巣ごもり需要へ対応するため、公式ユーチューブで「おこもり美容」動画配信も開始した。
今期については、依然としてコロナ禍の中にあるとした上で、店舗内の感染防止対策を実施して安心安全な環境を提供していく。同時に、多方向で集客を行い、情報発信も行っていく。 通期業績予想は、売上高が107億3300万円(前期比17.9%増)、営業利益1億4100万円、経常利益1億7100万円、当期利益5100万円を見込む。
部門別にみると、主力のスキンケアは対面カウンセリング販売が大きく制限された結果、売上は前期比27.5%減の19億7300万円と苦戦した。 一方、メークアップでは、新ブランドの「チュリエ」シリーズを2月に投入したことが奏功し、売上は同32.6%増の4億3200万円となった。 ヘアケアは、昨年6月に発売したヘアケアシリーズ「ヘアプライマリー」が年度内シリーズ合計で約?万本を出荷し好評を博した。 その結果、同カテゴリー売上は前期比27.3 %増の2億4800万円となった。その他化粧品は同0.7%増の4100万円で、 化粧品部門全体では前期比16.6%減の26億9500万円となった。新製品のあったメークアップ、ヘアケアの伸長がスキンケアの不調をカバーしたが、全体では2ケタ減となった。
美容補助商品部門は、家庭用複合美容器「アイビービューティパートナー」が7000台以上を集荷。また、炭酸チュアブルタブレット「クレアスパーク」、 機能性表示食品「スリムケアプラス」、電解水生成器「キレイオン」と新商品を相次いで投入した結果、同部門の売上高は前期比84.0%増の10億3300万円となった。
今期の通期業績見通しは、売上高42億円(前期比11.6%増)、経常利益5億円(同864.7%増)、経常利益4億8000万円、当期利益4億円を見込む。
ノエビアホールディングスの2021年9月期第2四半期は、売上高が前年同期比6.9%減の258億円、営業利益が同10.6%減の45億円、経常利益が同9.9%減の46億円、 当期利益が同16.4%減の20億円となった。主力の化粧品事業は、売上高が同7.2%減の196億5500万円、セグメント利益が同9.9%減の51億2300万円となり、 カウンセリング化粧品、セルフ化粧品ともに、コロナ禍の影響を受けて低調に推移した。サプリメントや医薬品などの医薬・食品事業は、売上高が同4.3%減の53億5900万円、 セグメント利益が同0.4%増の6億9100万円、その他事業の売上高が同16.2%減の8億4500万円、セグメント利益が同4.9%減の8700万円となった。