「書面交付の電子化」 審議入り前から批判噴出

反対意見?カ所に、消費者委が具体策再要請

 クーリング・オフの電磁的通知を可能とする特定商取引法改正案が国会に提出されたのは3月5日。それから1カ月半を経過した4月19日時点で、 まだ改正案の本格的な審議は始まっていない。ク・オフ電子化に関する同6日の質疑は、 先に審議入りした「取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律案」(以下DPF法案)を議論する過程で付随的に行われたものだ。
 一方、ク・オフ電子化とセットで盛り込まれた「書面交付の電子化」に関しては、審議入り前にもかかわらず、衆参の各委員ですでに幾度も議員から質疑が行われてきた。 そして予想された通り、そのほとんどが、法定書面の電磁的交付を可能とすることに批判的な意見で占められている。

 批判の急先鋒の一人となっているのは、参院の大門実紀史議員(日本共産党)。3月23日の地方創生及び消費者問題に関する特別委員会において、 内閣府規制改革推進会議ワーキンググループに出席した消費者庁の片桐審議官がその場で電子化を可能とする旨を返答したことに「普通なら消費者庁の立場を示し、持ち帰る。 明言するのは聞いたことない」「デジタル化の大号令をかけていた菅政権への迎合、忖度しか考えられない」と批判し、井上信治消費者相に 「消費者庁からわざわざ(悪質業者に)隙を与えることになる」「消費者庁の提案で被害が生まれることになったら責任を取れるのか」と迫った。
 さらに同26日の財政金融委員会では、電子化への反発に対する見解を菅義偉首相に求め「正直、承知していませんでした」「今、ご指摘をいただきましたので、 そこについては、ちょっと考えさせて、検討させてください」と返答させた。
(続きは2021年4月22日号参照)