シリーズ・特商法改正 ク・オフ、電磁的通知でも「発信主義」維持
特定商取引法改正案に盛り込まれた「クーリング・オフ通知の電子化」をめぐり、メールでク・オフを申し出た場合も「発信主義」が維持されるとの考え方が示された。 法案の条文では「到達主義」が適用される余地が残り、消費者に不利益を生じるおそれがあるとして、国会で見解をただされた消費者庁が答えたもので、 現行法におけるハガキ等と同様の扱いとなることが示された。一方で同庁は、ク・オフのメールを確実に受信できる体制を事業者に求めていく方針にも言及。 ク・オフ用のアドレスが法的記載事項に近い位置づけとなる可能性が出てきた。
一方、紙の書面による通知に加えて、電磁的な通知も可能とする改正を盛り込んだ法案は、書面と電磁的記録のそれぞれについて条文を設けた (表1参照、ク・オフ規定をもつ6取引類型から訪問販売の9条2項を例示)。
ク・オフの通知が効力を生じる条件について、書面の場合は「当該書面を発した時」と規定。現行法と変わっていない。これに対して、新たに追加される電磁的通知は、 「記録媒体に記録された電磁的記録」に関して「当該記録媒体を発送した時」にク・オフが成立すると定める。
この「当該記録媒体を発送した時」という条文が、消費者保護を訴える関係者の間で議論を呼んだ。電磁的なク・オフにおいて、 もっとも多用されると考えられるメールによる通知が、記録媒体を発送するという行為に含まれるかどうかはっきりしなかったためだ。
この懸念が、4月6日の衆議院・消費者問題に関する特別委員会で取り上げられ、議員の質疑に対して消費者庁が返答。結論として、ク・オフをメールで申し出た場合も、 発信主義が維持される旨が示された(表2参照)。
(続きは2021年4月22日号参照)