消センの「ICT利用相談」受付状況

メール・WEBからの相談、受付は2割

未実施 消セン 9割が受付予定なし、意思疎通に懸念

 メールやWEBサイトなどのICT(情報通信技術)を利用した消費生活相談の受付、情報提供の状況について、 全国の消費生活センターを調査した国民生活センターは3月25日、結果報告書を公表した。これによると、ICTを通じて相談を受け付けている消センは全体の2割強にとどまり、 未実施の消センの4割以上は今後もICT相談の実施を考えていなかった。理由には、相談者との意思疎通や相談業務の負担増加に対する懸念が目立った。 調査は昨年10~11月、全国801カ所の消センを対象に郵送アンケートで実施。716カ所から回答を得た(有効回答率89.4%)。
14%がメール受付その後の対応は都度判断

 報告書によれば、ICTを通じた相談を受け付けていた消センは153カ所で、有効回答の21.4%。残りの7割弱は、電話や来訪、文書、FAXでのみ受け付けていた。
 ICT相談の受付方法でもっとも多かったのは「メール」で、全体の14.2%にあたる102カ所が回答。次が、77カ所だった「WEBフォーム」で、10.8%を占めた。 ZOOM等の「会議システム」は5カ所、「SNS」は1カ所とわずかだった。
 「会議システム」で相談を受け付けていた消センのうち4カ所は、20年度に開始しており、その理由に「感染症対策」をあげた。
 相談受付後の対応は、メールで受け付けていた102カ所のうち、45.1%にあたる46カ所が「都度判断」していると回答。 「初回以降も(ICTで)対応」しているとしたのは14カ所で、13.7%にとどまった。WEBフォームの場合は、「初回のみ対応」の36カ所がもっとも多く 46.8%を占め、「初回以降も対応」は15カ所、19.5%だった。
 また、メールもしくはWEBフォームで受け付けていた消センのうち、4~6割台が「聞き取りが必要な場合は電話相談等を案内している」 「相談内容によっては相談者に電話している」として、電話によるフォローアップを行っていた。
都道府県の57%、政令市の47%実施

 自治体別に見たICT相談受付可否は、「都道府県」の消センがもっとも高く、42カ所中24カ所で実施。実施率は57.1%で、過半数で行われていた。 「政令市」も19カ所中9カ所で実施しており、47.4%の実施率だった。
 一方、「市」によるICT相談の受付は558カ所中106カ所で、実施率は19.0%にとどまった。「町・村」は68カ所中11カ所で16.2%。
 ICTを通じた相談を受け付けていた153カ所に聞いたICT相談の受付状況は、18カ所が回答。メールとWEBフォームによる受付を合算した件数は、 19年度は「0件」の8カ所がもっとも多く、これに「1~4件」の4カ所、「10~19 件」「20~49件」「50~99件」「100~249件」「250~499件」 「不明」の各1カ所が続いた。20年度は「1~4件」の9カ所が最多だった(回答数は20カ所、調査実施時点)。
 相談者の年齢は、メールで「30歳代」(102カ所中10カ所、9.8%)、WEBフォームで「40歳代」(77カ所中21カ所、27.3%)が最多。
(続きは2021年4月15日号参照)