ダイレクトセリング化粧品 過熱する美白化粧品市場

〝プラスアルファ〟で付加価値創出 コロナ禍でも堅調な需要に期待
 コロナ禍でライフスタイルが変わったことで、化粧品の売れ行きにも変化がみられるようになっている。「シワ改善」をはじめとする目元ケア商品が好調な一方で、 マスクで隠すことができるリップ関連が落ち込むといった傾向が市場全般の動きだ。“生活必需品”とも言えるスキンケアに関しては、外出機会が減少しても手堅く、 むしろステイホーム時間が増えたことで、肌のケアに時間を費やす人も少なくないという。さらに、人と会う機会が減って表情の変化が乏しくなった結果、 「たるみ」が気になるという声も聞かれ、新たなトレンドもみられる。毎年春先は美白商戦が過熱するが、 近年は美白に「プラスアルファ」の機能で訴求する取り組みが積極的だ。
血管内の濁りが美白に影響
▲機能を強化した「ホワイトショット CXS」(ポーラ)
 ポーラはこのほど、美白ブランド「ホワイトショット」の美白美容液「ホワイトショット CXS」をリニューアルするとともに、初の「美白ケア×多機能UVケア」で 訴求する日中用クリーム「ホワイトショット スキンプロテクターDX」(4月22日発売)を投入し、春夏の美白ニーズ獲得を図っている。
 美白ブランド「ホワイトショット」は、2019年5月に大幅なリニューアルを果たしたシリーズ。日本国内では10年ぶりとなる新規美白有効成分「PCE│DP」を 配合しており、「メラニンの蓄積を抑え、しみ・そばかすを防ぐ」効能・効果をもつ。化粧品としての安全性をより重視したのも特徴。
 今回刷新した「ホワイトショット CXS」では、「肌の濁り」に着目した。美白には透明感のある肌が重要だが、メラニン、糖化、血管内の濁りが肌の 透明感を低下させる要因だという。同商品では、「3つの濁り」にアプローチして、美白ケアを行う。「3つの濁り」のうち、新たに見出した「血管内の濁り」は、 血管に蓄積する老化色素「リポフスチン」が肌を茶色く濁らせていることが原因で、代謝で分解しきれなかった脂質やタンパク質が変性してできる褐色の色素。 加齢とともに蓄積され、細胞に過剰に溜まると加齢黄斑変性や心臓・肝臓の褐色萎縮などの疾患にも関わるという。同商品では、従来のホワイトショットで着目してきた メラニン濁り、糖化濁りに加え、血管濁りもフォローすることで、より高い美白ケアを提案する。また、浸透ナノカプセルによって角層のすみずみまで有用成分を届ける 「CXSデリバリー処方」を採用。使い心地は、とろみのある透明セラムを肌にのせると、すみずみまでスピーディに馴染む「ダイビングショット感触」を採用した。
 「ホワイトショット スキンプロテクターDX」は、美白ケアと多機能UVカットを備えたアイテムで、ヒトの肌が本来持つ日焼けから肌を守る力「セルフシールド機能」に 着目した。スマホやPC、夜間まで明るい生活など、現代人を取り巻く環境は、脳から分泌されるホルモン「メラトニン」を減少させ、 これが日焼けしやすい状態にしていることを見出した。同商品は、メラトンの減少による日焼けしやすさに関わるタンパク質「EHF」を増やす成分として、 「SSリキッド」を配合した。これが、肌のセルフシールド機能をONに導き、UV刺激を受けても過剰なメラニン産生を抑えるという。 また、汗でUVカット力を高める「イオン応答粉体」を用いた処方を採用したほか、「形状記憶ポリマー」で皮膚の伸縮にも対応した。さらに、紫外線、ブルーライト、 近赤外線をマルチカットして肌を守るという。
人気ブランドを幅広い世代に
 ナリス化粧品では、セルフ市場向けに展開している「パラソーラ」ブランドから、UVケアにトーンアップ、美白機能をプラスした 「パラソーラ ホワイト ブライトニング UV」を投入した。
 「パラソーラ」は、1993年にデビューした日焼け止めブランドで、一貫して「女の子のなりたい」を応援するとともに、プラスアルファの付加価値を提案してきた。 肌色補正機能を持たせた日焼け止めは、業界に先駆けて2005年から展開しており、ニーズをキャッチしてきた。もともと10代~20代の女性を メーンターゲットとしてきたが、発売から28年を迎え、愛用者の中には10年以上の使用者も増えていることから、幅広い年代で使用できるアイテムの開発を目指した。
▲手軽なバラエティショップで
   展開する「パラソーラ」ブランド
   (ナリス化粧品)
 「パラソーラ ホワイト ブライトニング UV」は、美白有効成分としてトラネキサム酸を配合。従来のトーンアップUVにはないスキンケア効果を追加することで、 肌に透明感をもたらす。ノンケミカル処方でありながら、肌にやさしい軽い塗心地が特徴となっている。 また、ソフトフォーカス効果パウダーによって毛穴や凹凸をカバーするほか、べたつき抑制成分と汗吸着パウダーによって肌をさらさらな状態に整える。 化粧下地としても使用できる。コロナ禍で夏場でもマスクを着用する機会が増えたことで、蒸れやベタつきなど、肌荒れに悩む女性が増えていることを踏まえ、 「ノンケミカル処方」「薬用美白」「トーンアップ」をキーワードに訴求していく。
 春から夏にかけて日差しが強まるシーズンにおいて、美白ケアには日焼け止めが欠かせない。日焼け止めアイテムにおいても、近年は複合機能がスタンダードとなっており、 各社は製品開発にしのぎを削っている。シーボンが6月に発売する「ブライトベールUVプロテクター」は、日焼け止め、ブライトケア、肌トーン補正の3役をこなす。 エフエムジー&ミッションが先ごろリニューアル発売した「ミッション UV プリベンダー EX」は、日焼け止めとエイジングケアをサポートするアイテム。 さらに御木本製薬の新U Vケアシリーズ「フェイスUVプロテクター」「UVプロテクター」は、UVケアにスキンケア効果、 さらに大気汚染など環境ストレスにも着目して開発するなど、それぞれ独自性の創出に注力している。