2020年度の特商法執行状況
改正法施行以降の増加は、新設された業務禁止命令の〝上乗せ〟効果が大きく、ほとんどの業務停止命令(連鎖販売取引等に対する取引等停止命令含む)において セットで出されてきた。
業務禁止命令の件数を除いた、業務停止命令と指示の合計処分数も増加。19年度は前年度比28%増の110件が行われ、 118件だった13年度以来6年ぶりに3ケタ台にのせていた。
これに対して、改正法施行以降で初の減少となった20年度は、新型コロナウイルス問題が直撃。執行に関わる業務が大きく制約を受けたとみられる。 災禍にともなう処分数の大幅な減少は、年度はじめ直前に東日本大震災が発生した11年度においても生じ、この時は前年度に比べて33%のマイナスとなった。
前年度に処分数の多かったトップ3を見ると、37件の処分を行っていた東京都は、20年度は9件に減少。前年度12件を行っていた大阪府も、20年度は3件と減らした。
前年度において東京都に次ぐ15件を処分した埼玉県も、20年度は12件と減少。3府県合わせて計40件の減少としており、中でも東京都の大幅減が響いた形となっている。 処分を行った都道府県は11道府県にとどまり、残りの36府県では処分を未実施だった。
一方、前年度と変わらなかった国も、事業実態に基づいた実質の処分業者数は減らしたとみなせる。
業務停止命令と指示、業務禁止命令の同時適用や、単一事業者が行う複数の取引の処分、事実上一体となって活動していた複数の事業者の処分など、 処分の重複カウントを除いた実態に近い処分数は、前年度は18件。対して20年度は27件だったが、 これにはAmazonで偽のブランドバッグなどを出品していた13事業者に対する一斉処分が含まれた。このため、一斉処分を1事業者とカウントすると15件となり、 前年度を3件下回った。
都道府県における実態ベースの処分数も、前年度の21件に対して20年度は16件と減らした。
(続きは2021年4月8日号参照)