首相「検討させてほしい」参院で被害懸念する質問に

書面交付の電子化反発「承知してなかった」
 法定書面の電磁的交付を可能とする特定商取引法改正案をめぐり、消費者トラブルへの懸念から消費者保護団体の間で電子化に反対する意見が出ていることに関して、 3月26日の参議院財政金融委員会で問われた菅義偉首相は、電子化について検討する旨を答弁した。日本共産党の大門実紀史参院議員の質問に答えたもの。
 同日の委員会で大門議員は、政府が今国会で成立を目指すデジタル改革関連法案や書面のデジタル化を推進する方針を踏まえ、 消費者の安全・保護に関わるケースは「慎重に検討すべきではないか」と質問。これに首相は「国民の安心安全が大前提」 「技術的に対応可能な全ての契約書面のデジタル化を進めているが、書面での手続きの廃止を求めているものではない」と述べ、 消費者保護の観点から保険の契約条件変更の通知はデジタル化の対象から外していることなどを例示した。
 電子化を盛り込んだ特商法の改正案について、大門議員は「トラブルの多い訪問販売等から消費者を守るための法律」と指摘。 電磁的交付の前提となる消費者の承諾について、特商法で計4度の処分を受けたジャパンライフ事件を例に「本人の同意を取ってだます。 本人の同意は歯止めにならない」「紙とかハンコの世界ではワンクッションある。ところが、あの時にオンライン化がOKとなっていたら、 ジャパンライフの社員はおそらく一緒にクリックを押してあげて、ぽんぽんぽんといってしまう」と述べた。
 さらに、「入口で色々考える時間、ためらう時間がデジタル化によって無くなってしまうのではないかと、現場の相談員から声がいっぱい出ている」と説明。 家族が紙の契約書を見つけて被害に気付くケースが「ブラックボックスになってしまう」と指摘した。
(続きは2021年4月1日号参照)