ダイレクトセリング化粧品 「シワ改善」需要の掘り起こし進む

マスク常用生活でニーズ増加「目元ケア」アイテムの投入相次ぐ
ニューノーマルの生活様式が奨励されるようになって、約1年が経過した。コロナ禍は依然として予断を許さない状況であるものの、 感染防止対策を講じながら社会経済活動を盛り上げる施策が活発に行われている。消費行動においては、さまざまな市場で新しいトレンドが生まれている。 化粧品分野では、マスク常用で乾燥しがちな肌を守るため、化粧水ミストが人気であるほか、人の視線が集中しやすい目元ケアが改めてフォーカスされている。 特に近年は「シワ改善」の効果をもつ化粧品が各社から相次いで発売されており、ニューノーマル下でのニーズ変化を追い風に市場拡大が期待されている。 ダイレクトセリング化粧品各社も積極的な動きをみせている。

コンセプトは「初めてのシワ改善」
 コロナ禍に伴うニューノーマルのライフスタイルが続く中、マスクを常用する機会が増えた。ナリス化粧品が先ごろ実施した調査によると、 シワが気になる部位のトップはほうれい線で、8割の女性が「マスクをつけているとシワが隠れる」と考えていることが分かった。 また、マスクをつけていると自分の顔が「若く見える」と思うという回答が6割、さらに9割がマスクで顔を隠せるのは「便利」と思っていることが分かった。 若年層では、マスクをつけている時の顔が「好き」という傾向が強い。
▲ナリス化粧品の新ブランド「For the F」

 「マスクで気になる部位を隠せる」というライフスタイルが定着した結果、スキンケア、メークアップに対する意識の変化も生じており、 化粧品分野では目元まわりのスキンケア、メークアイテムへの需要が高まっている。目元まわりのスキンケアは、もともとエイジングケアアイテムとして ニーズが高いが、マスクで顔の下半分が隠れることで、目元まわり、特にシワのケアを気にする女性が増えているようだ。
 ナリス化粧品は4月1日、ドラッグストア・量販店流通で展開する「ナリスアップ」ブランドから、初めての薬用改善シワ改善ブランド 「For the F(フォーザエフ)」を投入した。販売チャネルは、全国のマツモトキヨシグループ、ココカラファイングループの一部店舗のほか、 ナリスアップ公式オンラインショップでも展開していく。
 「フォーザエフ」は、「シワ改善+美白」のロールオンタイプの美容液「薬用リンクルクリアエッセンス」(15ミリリットル、価格はいずれもオープン価格)、 UVカット機能を備えたハンドクリーム「薬用リンクルクリアハンドUV」(60グラム、SPF32・PA+++)、 「シワ改善+肌荒れ防止」のBBクリーム「薬用リンクルクリアBBクリーム」(2色・各30グラム、SPF50+・PA+++)。 ブランド名は、Female、Forty、Future、Fortuneと4つの「F」に願いを込めたもので、 30代からシワの変化を感じる女性をケアすることをコンセプトとしている。
 同シリーズでは、シワ改善の有効成分としてナイアシンアミドを配合した。さらに、美容液では「マッサージしながら、シワ改善と美白」、 ハンドクリームでは「紫外線カットしながら、シワ改善と美白」、BBクリームでは「SPF50+でメークしながら、シワ改善と肌荒れ防止、美白ケアも」と、 シワ改善だけでなく美白やUVカットなど、女性に人気の機能を組み合わせた。
 ライフスタイルや価値観の変化でスキンケアに対する考え方も多様化する中、簡単なアイテムで気軽に「ながらシワケア」できるブランドとして訴求している。 年齢を問わず、シワが気になり始めた女性に対し、〝初めてのシワ改善ケア〟という選択肢を提供していく構えだ。 同社では、2月にリニューアルした角層ケアブランド「ネイチャーコンク」シリーズでもナイアシンアミド配合のシワ改善ジェルクリームを投入しており、 さまざまなラインナップで需要獲得を進めている。
機能強化で製品訴求力高め
 最大手のポーラは、大ヒットアイテム「リンクルショット メディカルセラム」をこの1月にリニューアル。コロナ禍での目元ケアニーズ増加を背景に、 好調に推移しているようだ。2017年1月に発売された「リンクルショット」は、独自成分の「ニールワン」を配合した日本初の「シワ改善薬用化粧品」 として支持を集め、主力のダイレクトセリングをはじめ、百貨店やEC、海外展開などによってこれまでに258万個が販売。累計売上328億円規模を達成した。
▲シワ改善の先駆けとなった
   「リンクルショット メディカルセラム」
(ポーラ)

新「リンクルショット」は、従来品に比べてシワの改善率が1カ月で2倍以上アップしたという有効性比較のデータもあり、 機能性の強化によって訴求力を高めたのが特徴。単品使いが可能な化粧品であることから、同アイテムを入り口に、最高峰ブランド「B.A」など、 他のラインナップを購入するケースも少なくなく、フックアイテムとしても有効活用されている。
美白や乾燥ケアなど複合機能で独自性
 ノエビアでは、有効成分としてナイアシンアミドを配合した「薬用リンクルセラム」を展開している。ナイアシンアミドは、真皮にあるコラーゲンの生成を促し、 シワを改善する働きをもつ。また、メラノサイトの働きを抑制することで、美白に導く作用もあるという。同成分がシワの奥深くまで浸透し、 表皮と真皮にアプローチし、出来てしまったシワを改善するとともに、シミにもアプローチしてエイジングケアをサポートする。「薬用リンクルセラム」では、 同社の植物研究の成果も応用し、オリジナル植物エキスの「エーデルワイスエキス」「オドリコソウエキス」をはじめ、さまざまな美容成分を配合した。 2種の植物エキスは、自社農場「北海道暑寒別岳パイロットファーム」で有機栽培した植物から抽出したものを使用した。
 このほか、御木本製薬では、シワ改善と美白のダブル効果をもつ薬用オールインワンジェル「リンクル&ホワイト スキンパーフェクションジェル」、 薬用シワ改善クリーム「リンクルアドバンストクリーム」を展開している。「スキンパーフェクションジェル」は、 シワ改善、美百、乾燥ケアの機能を備えたオールインワンジェル。有効成分としてナイアシンアミドを配合しているほか、 独自成分のパールコラーゲンをはじめとした11種類の成分が幅広い肌悩みをトータルでケアするという。