米アリックスが元日本トップ会員4人を提訴 ユタ州営業秘密法違反で

新MLM「クオリア」設立、組織移動発生 企業秘密の不正流用主張、日本も提訴準備
▲アリックスを傘下に収めた
   ニューエイジの監査前決算短信では、
   日本法人からも訴訟を予定している
   ことに言及
外資系MLM中堅の「アリックスジャパン」(以下アリックス、東京都港区)の米国本社が、日本のトップリーダーだった会員4人を相手取り、 本社のある米ユタ州で訴訟を起こした。アリックスに対する昨年11月の行政処分をきっかけに、会員4人が別のMLMを新設。 アリックスから新会社へ組織移動が起きる際、4人と米国本社の間で結ばれていた契約に関してユタ州法に反する不正があったと主張している。 日本法人のアリックスも国内で提訴する準備を進めている。
契機は行政処分計37人強制解約
 米国本社の提訴は1月8日。同社を原告として、ユタ州ソルトレイク郡の第3地方裁判所に訴えた。
 提訴の相手方は、日本のトップリーダーだったK・W会員、K・Y会員、K・A会員、T・T会員の4人(うち2人はパートナー登録により1組で活動)。 4人は、うち1人を代表とする新MLM「QUALIA(クオリア)」(以下Q社、所在地・大阪市中央区)を設立。 ヒト細胞培養液の化粧品やビタミン系サプリメントを取り扱っている。
 アリックスは昨年11月20日、消費者庁から特定商取引法違反で9カ月間の新規勧誘、登録受付等の停止命令を受けた。 訴状や関係者によれば、この処分に前後してアリックスからQ社へ会員の移動が起きたという。
 訴状によれば、処分前に4人との間で複数回、交渉の機会をもち、処分前日のオンライン会議でアリックスへの残留を要請したが、処分の発表後、 表立った移動の働きかけが始まったとしている。
 アリックスは処分後、計37人のリーダークラスを強制解約(2月12日時点)。そのほとんどがクロスリクルートを理由としている。 この中には、トップタイトルの「クラウン」に次ぐ「チェアパーソン」保持者7人や、「チーフエグゼクティブオフィサー」保持者6人などが含まれる。
「Fクラブ」認定 利益配当の特典
 訴状では、ユタ州の統一営業秘密法(UUTSA)に反する企業秘密の不正な流用が4人によって行われたと主張。 4人は、トップリーダーの中から米国本社が認定する「ファウンダーズクラブ(以下FC)」の一員に選ばれており、 企業秘密に外部からアクセスできるのは「FC」か、信頼できる少数の個人に限られるとしている。アリックスによれば、「FC」の認定数は世界全体で17人。
 「FC」は14年に導入された制度。主な特典として、定例会議等を通じて会社の経営方針、事業計画の策定に参画できる権利や、年度毎の利益分配権利が得られた。 利益の分配は、国・地域毎の営業利益率が純売上高ベースで10%を超えた場合、利益の配当を受けられるインセンティブ。原資からの配当額は分け合う「FC」の人数、 基準となるMLMボーナスの取得状況などで変わった。
(続きは2021年2月18日号参照)