明示的承諾の取得、ク・オフ電子化を要請書面交付電子化で消費者委が建議

事業者に立証責任、交付方法の限定なども6類型の電子化自体への反対、記載なし
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 特定商取引法の改正によって法定書面の電磁的交付を可能とする政府方針をめぐり、意見表明を予定していた消費者委員会 (委員長=山本隆司東大大学院法学政治学研究科教授)は2月4日、消費者の利便性向上や消費者保護につながる法改正を求める建議を消費者相に提出した。 電子化の前提条件として、消費者から明示的な承諾を得ることや取得前の情報提供、事業者による立証責任などを要求。紙の書面と同様の一覧性や交付方法の限定などに加え、 消費者利益の観点からクーリング・オフの電磁的通知を可能とすることも求めた。なお、書面交付義務をもつ特商法6類型で電磁的交付を可能とすること自体への 明確な反対意見は盛り込まれなかった。
取り組み状況の報告も要求
 建議の名称は「特定商取引法及び預託法における契約書面等の電磁的方法による提供についての建議」。建議は、消費者庁及び消費者委員会設置法に定められた 提言となることから、消費者相には今後、取り組み状況の報告を求める。
 建議では、特商法の書面交付義務が、十分な情報提供や合理的意思決定の機会の確保、ク・オフ期間の起算点といった重要な役目を担っていると説明。紙の書面がもつ一覧性、 家族や見守り活動等による視認のしやすさも指摘した。
 また、デジタル技術に疎い消費者につけ込んだトラブルへの懸念、電磁的交付がすでに解禁されている他の業法と異なり、 特商法が参入規制(登録制や許認可制)を採用していないことなどを理由に、電磁的交付を可能とする場合の消費者保護措置を要求した。 主な要求・提案テーマ(表参照)は、 ①電磁的交付に対する消費者の承諾②電磁的交付の方法③クーリング・オフ関連④デジタル技術による消費者保護の推進の4つ。
電話・口頭のみの承諾「慎重に」
 ①では、消費者が知らないうちに電磁的交付が行われ、ク・オフ可能期間が経過することなどがないように、電磁的交付への承諾は 「真意に基づく明示的なものでなければなら(ない)」として、「安易に承諾が取得されないための手立てを講ずること」を要求。具体例として、 電話・口頭のみで承諾を得ることや、WEB画面で承諾をデフォルトとした設定などは「慎重であるべき」と求めた。
 また、消費者の年齢や判断力等も考慮した上で、承諾の効果、電磁的方法の種類・内容、ク・オフ期間の起算点等について消費者へ事前に 「十分な情報提供がされることが必要」とし、適切な承諾取得のあり方やク・オフ起算点の明確化と合わせて「ガイドライン等で明確化すべき」と求めた。
 さらに、消費者から取得した承諾が有効なものかどうかの立証責任は「事業者側にあるものと解される」として、この点を「明確にすることが必要」ともした。
(続きは2021年2月11日号参照)