NMI宮澤代表に聞くポイント「書面交付電子化」㊤
宮澤 政夫代表
―――紙で交付する義務のある6類型全てについて、電磁的交付を可能とする法改正の方針が消費者庁から示された。どのような感想を抱いたか伺いたい。
「率直に言って驚いた。昨年の記事(訪販ニュース?年?月?日号)で、『特定継続的役務提供(以下特役)の書面交付が電子化されるらしい』と知って、 NMIの中でも話題となり、議論を重ねていた。
それだけでも(NMIの)会員にとって突然のトピック。初耳のため、どの会員もまとまった考え方をもっていなかった。 反対というわけではないが積極的に歓迎するという姿勢でもなく、『本当にできるのか?』という懐疑的な意見が多かった。私も同じような見方をしていた。 それだけに、特役だけでなく訪問販売、連鎖販売取引を含む6類型の全てを電子化の対象にすると聞いて驚いた」 ―――特役の電子化を知った時点では、どのような印象だったか。
「きっかけは、昨年?月の規制改革推進会議のワーキンググループ(以下WG)での議論。オンラインで英会話サービスを提供している事業者から、概要書面と契約書面で2度、 紙による交付が必要なので、ここをデジタルでも良いことにできないかと要望され、消費者庁の審議官が「電子化する方向で検討したい」と答えた。 消費者庁は内閣府の外局にあたる。上の方から、特定の業態について電子化を提案され、あっさり了承したように見える。なぜ、そんなにすんなりと進むのか不思議に思えた」
―――その後は、どのような展開を予想していたか。
「まず疑問に思ったのが、なぜ特益だけなのかという点。書面交付義務のある6類型の全部、電子化をするなら道理に合うし、 それくらいの抜本的な法改正が必要なことだと理解できる。
ただ、6類型全てで一斉に電子化が認められることは難しいのではないかとも考えていた。理由の一つは、特商法が事業者の規制に比重を置いてきたこと。 書面関係で言えば、紙による交付という、取引の迅速性を阻害する面倒な手続きを義務付けてきた。だから、今回も慎重に取り扱われるのではないかと予想していた。
6類型それぞれの業態の違いも理由。特に連鎖販売取引と業務提供誘因販売取引は、ビジネスを持ち掛けるものだから、商品・役務の売買である訪問販売や電話勧誘販売、 訪問購入とは性質が異なる。仮に、電子化の対象を順に広げていった場合は、連鎖販売取引は後回しになるのではないかと考えていた」 ―――しかし、6類型を電子化する方向へと一気に進んだ。電子化が実現する可能性についてどう見ているか。
(続きは2021年2月4日号参照)