書面交付の電子化「反対」「慎重に」、2消費者団体が意見書
提出日は全相協が1月5日、消団連が20年12月25日。提出先は消費者担当大臣、消費者庁長官、消費者委員会委員長、国民生活センター理事長、内閣府規制改革推進会議議長、 成長戦略ワーキング・グループ座長。
書面交付の電子化案は、20年11月9日の内閣府「第3回成長戦略ワーキング・グループ」で浮上。特定継続的役務提供(以下特役)で概要書面と契約書面のデジタル交付を可能とするように 求める意見に対し、消費者庁審議官が「電子化する方向で検討したい」と応答した(20年12月17日号1面詳報)。
電子化には特商法改正が必要となるが、同庁は、20年8月にまとまった「特定商取引法及び預託法の制度の在り方に関する検討委員会」(以下検討委員会)の報告書に基づき、 1月18日召集の通常国会への特商法改正案提出を目指しており、ここで電子化関連の改正も行われる可能性がある。
本紙取材によれば、電子化の対象に訪問販売や連鎖販売取引が含まれるかどうかは不透明。同庁取引対策課は「まだ検討を行っているところ」とした(20年11月末時点)。
①では、オンラインで交付された書面の保存方法が分からない、削除してしまう、スマートフォンを買い替えた際に紛失するといったケースが「容易に推測される」と強調。 ②の理由で書面を確認できなかった場合は、責任の所在があいまいになる問題を指摘した。
③では、マイページで閲覧する書面が改ざんされるおそれ、オンライン交付同意へのチェックをデフォルトにして同意を誘導するケースなどを指摘。 ④では、多くの消センはメールによるやり取りを行っていないため「契約内容の全貌を把握するだけでも多大な労力を要するおそれ」があると説明。 オンライン相談の体制が整備されても「相談者自身が契約書をデータで消センに送付できるかは別問題」とした。
また、オンライン交付は「一覧性がなく、画面が小さく、文字を拡大できたとしても一目瞭然とはならない」「赤文字で記載されているクーリング・オフの記載を一目で探すことが困難」などとして、 契約内容を確認・警告させる特商法の意義が損なわれるとした。
(続きは2021年1月14日号参照)