保湿力重視のラインナップ強化 ダイレクトセリング化粧品
コロナ禍の〝2度目の冬〟迎え ニューノーマルで乾燥対策ニーズ増加
東京や大阪、札幌といった主要都市を中心に、再び感染が広がっている新型コロナウイルス。コロナ禍が世界を覆い始めて約1年、
2度目の“コロナ禍の冬”を迎えようとしている。3密の回避やこまめな換気、マスクの着用、手指の消毒、さらにはリモートワークの推進など、
ニューノーマルの生活様式の浸透によって、ライフスタイルが変わった人も少なくない。化粧品の売れ行きにも変化があらわれており、
例えばオンライン会議映えするアイメークなどが人気を博している。これからの季節は、保湿を重視したアイテムが各社から発売される。
今シーズンはコロナ禍の中で定着したマスク生活などを背景に、例年以上に保湿を重視した新製品の動きが活発だ。
▲保湿力を強化した
「アミュルテ スキンベール BB モイスト」
(ナリス化粧品)
55周年記念製品で シニア需要に応え
2021年1月24日の創業55周年という節目を迎えるシーボンは、先ごろ周年ロゴを策定するとともに、さまざまな記念製品も展開している。
〝時計遺伝子〟に着目したナイトクリーム「コンセントレートプラスバイタルクリームa」をはじめ、独自成分配合のエイジングケア美容液
「ルミナスバイオセラム」、定番クレンジングクリームの特別限定版「フェイシャリスト トリートメントマセR」といったスキンケアアイテムを
順次投入し、節目の年を盛り上げている。シニア世代の愛用者が多い同社製品は、もともと保湿力の高いラインナップが特徴だが、
今シーズンはその傾向が強まっている。55周年第1弾アイテムとして発売した「コンセントレートプラスバイタルクリームa」は、
コメ由来成分で肌のハリや弾力に寄与する独自原料「デュアルライスコンプレックス」に加え、保湿成分(ヒアルロン酸ミクロスフィア)や
セイヨウニワトコ花エキスを新配合して機能性を高めた。来春には、同シリーズから日中用の保湿クリームもリニューアル発売する予定で、
マスク着用や手洗いが奨励されているコロナ禍で高まっている保湿ニーズに対応していく構え。
保湿力や時短ケア 最新トレンド反映
ナリス化粧品は、コロナ禍の中で女性の美容行動や化粧行動がどのように変化しているのかを頻繁にリサーチしている。4月に実施した調査によると、
新型コロナウイルスの感染拡大によって、9割以上の女性がマスクを使用しており、高齢層ほど使用率が高かった。また、マスク使用時の肌悩みとしては、
かゆみやべたつき、チクチクといった実際の感触の影響にとどまらず、「気持ちが滅入る」など、メンタル面への影響も明らかになった。
また、美容行動については、3密の回避などを背景に、エステサロンでのフェイシャルエステの利用が減少していることが判明している
(8月実施の調査による)。ナリス化粧品では、こうした変化を受けて、10月21日から自宅でもサロンと同じ施術を受けることができるサービスを開始、
全国約5000人のエステティシャンが自宅に訪問してフェイシャルエステを行う取り組みを行っている。商品政策においては、
ECチャネルでの購入ニーズ増を見越して、通販および研修センターで取り扱う新ブランド「リソワ」「クラリティア」を発売した。
合わせて、マスク着用によって肌の擦れや呼気が蒸発する際に肌の水分を奪ってしまうことで頻発が懸念される
「肌の乾燥」を想定したラインナップも強化。9月21日には、4種の植物美容オイルとうるおいキープオイルを配合し、
肌に密着して肌の水分蒸散を防ぐクリームチーク「ナリス クリームチーク デュアルカラー」を発売。また、12月21日には、
ベースメークブランド「アミュルテ」から、保湿力をアップしたBBクリーム「スキンベール BB モイスト」を追加発売する。
同商品は、2019年の発売以来13万個超を販売した人気アイテムをベースに、4種のヒアルロン酸を配合して乾燥から肌を守る機能を高めたもの。
「アミュルテ」ブランドは、「スキンベール BB」とパウダーファンデーション、ルースパウダーと組み合わせてクイックメークも可能で、
ちょっとした外出やテレワーク時のオンライン会議など、すばやくメークしたいニーズにも対応しており、近年のトレンドでも時短メイク・スキンケアと
いう観点からも訴求している。
▲最新の研究成果を盛り込んだ
「ザ ミネラルライン」
(ワミレスコスメティックス)
国際学会で発表の最新技術を導入
今年、創業40周年を迎えたワミレスコスメティックスが満を持してリニューアル発売した基幹スキンケアブランド「ザ ミネラルライン」も、
従来シリーズに比べて保湿の持続性や肌への浸透力がアップしたのが特徴だ。角層を整えてうるおいで満たす「エンリッチ」、
肌に弾力を与えてキメを整える「エンハンス」、保湿し、肌を健やかに整える「エンブレイス」という3つのコンセプトによって、
肌が本来もつ働きを整えて導くという。特徴として、美容成分の肌への浸透性・送達性を追求した製剤化技術「カチオン化ベシクル」も盛り込まれている。
化粧品の肌への親和性を高める技術で、人工臓器に使用される高い生体適合性と、ミネラルほか多種美容成分をカプセル内に内包可能で、
安全性と有効性を兼ね備えており、同社が実施した有効性試験では、従来品に比べて保湿の持続性、肌への浸透力ともに優れていることが分かった。
昨年9月にイタリア・ミラノで開催された第?回国際化粧品技術者会連盟(=IFSCC)中間大会では、「カチオン化ベシクル」の研究発表を行い、
化粧品メーカーとして世界で評価された。
シワ改善のヒット製品機能強化でリニューアル
このほか、ポーラが来年1月に発売する新「リンクルショット メディカルセラム」は、2017年に発売された「リンクルショット」の
リニューアル品だ。初代は、国内外で約110万人が愛用、累計売上328億円規模の人気アイテム。国内初の薬用シワ改善美容液としてヒットした
同アイテムが、新たにキズが治るメカニズムを応用した理論を導入して機能性を高めてリニューアルされる運びとなった。
マスク着用生活が一般的なものとなり、人の視線が必然的に、目元などマスク以外の露出部に行きやすくなっている中で、
目元ケアへのニーズはますます高まっているとみられる。初代「リンクルショット」は、主力のダイレクトセリングやポーラザビューティーなどにおける
サロン販売だけでなく、百貨店など多様な販売チャネルで支持を集めたが、コロナ禍の中で消費者の購買行動に変化がみられる中、
同社はECでの展開にも注力。海外では、中国(越境EC)、台湾、香港、タイなど6つの国と地域、韓国免税店でも取扱う予定で、
巻き返しへの起爆剤となるか注目される。