東京都の19年度「消費者相談件数」

訪 販 …3年連続増、依然目立つ「工事・建築」
マルチ …14%増、投資学習USBが押し上げ
 東京都が11月13日までにまとめた、19年度(19年4月~20年3月)の「消費生活相談年報」によると、販売購入形態別の相談件数の前年度比は「訪問販売」と 「マルチ(まがい)商法」のいずれも増やしたことが分かった(表参照)。相談の内訳を見ると、訪販は70歳代以上の高齢者における住設系の相談、 マルチでは20歳代以下の若年層に関わる投資系の相談が目立った。なお、店舗購入等を含む総件数は0.1%増の13万9305件で、ほとんど変わらなかった。
 「訪問販売」の相談件数は前年度比4.7%増の1万835件。16年度に1万件を割り込んで以降、3年連続の増加となった。 「マルチ(まがい)商法」は同13.8%増の1745件。過去5年間で17年度の1828件に次ぐ2番目の多さとなった。
 相談の多かった商品・役務の上位3品目は、訪販が①「工事・建築・加工」②「放送・コンテンツ等」③「役務・その他」。 前年度比と件数は①が17.5%増の1722件、②が11.4%減の1195件、③が15.9%増の867件。①は、特に屋根工事(35.1%増の681件)、 工事・建築サービス(22.9%増の231件)で増加がみられた。③は役務その他サービス(28.5%増の505件)で増加がみられ、年報では、 火災保険等で住宅の修理ができると謳う業者による保険申請代行サービスに関する相談が多いとしている。
 4位以下で増加が目立った相談は、161.4%増の690件だった「電気」、23.2%増の642件だった「修理・補修」など。
 マルチの上位3品目は①「学習教材」②「内職・副業」③「ファンド型投資商品」で、前年度比と件数は①が82.2%増の383件、 ②が20.8%増の238件、③が7.4%減の147件。①の大半は、353件だった教養娯楽教材が占め、投資用教材USBなどに関する相談が寄せられた。 都は今年3月と5月に、大学生等を狙った投資学習用USBメモリーの連鎖販売取引計4事業者を特商法で処分している。 ②はオンラインカジノやアフィリエイト関連、③は仮想通貨や海外不動産など投資・権利に関する相談が多かった。
(続きは2020年12月3日号参照)