DS化粧品 コロナ禍の影響強く

〝宣言〟解除後も鈍化続く 非接触サービスやチャネル多様化で対応
  第3波の到来が本格化している新型コロナウイルスの感染拡大。内閣府が発表した2020年7月~9月のGDP伸び率(速報値)は年率換算21.4%増と、 戦後最大の落ち込みとなった4月~6月(28.8%減)から転じてプラスとなった。一方、コロナ禍前の水準には遠く、飲食業や観光業をはじめ、 さまざまな分野で厳しい状況が続いている。ダイレクトセリング業界の化粧品分野においても、サロン営業が再開されたほか、 海外市場の回復がみられたことなどで一時期に比べて持ち直しているが、予断を許さない状況にある。コロナ禍によって変化したニーズに合わせた 商品・サービスの開発、ウィズコロナ”を前提としたビジネスモデルの構築が急務だ
 
▲55周年ロゴを策定し
   業績回復をめざす(シーボン)
シーボン2Q減少幅縮小も苦戦
 シーボンの2021年3月期第2四半期は、連結ベース売上高が前年同期比32.5%減の41億4000万円と、 第1四半期に比べて減収幅は縮小したものの、大きな落ち込みを余儀なくされた。緊急事態宣言の発出を前後して、 サロン(シーボンフェイシャリストサロン)の臨時休業措置が大きく響いた結果となった。
 損益面は、売上原価率が26.8%で前年同期比4.6ポイント上昇、販管費率が92.7%で同17.5ポイント上昇となった結果、 営業損失は8億1300万円(前年同期は1500万円の利益計上)、経常損失は5億8200万円(同1億7600万円の利益計上)、 当期損失は6億1200万円(同8500万円の利益計上)となった。
 同社は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、今春に首都圏など都市部を中心に、直営店舗の臨時休業やイベントプロモーション など新規集客活動の全面自粛を実施。緊急事態宣言下では、経験豊富なフェイシャリストを臨時配置したり、 送料無料キャンペーンの実施など通販部門の強化を図った。同時に、SNSやアプリといったデジタルツールを活用した動画配信を行い 顧客とのコミュニケーション強化を行った。5月中旬以降、店舗の営業を順次再開し、予約数の制限や非接触型の フェイシャルケアメニューを提供し、〝ウィズコロナ〟を見据えたサロン営業を展開している。 一方、7月に予定していた大規模イベント入場者制限の緩和が先送りされたことで、 集客力の高い大型協賛イベントは不透明な状況が続いている。
 商品政策としては、サロンケア用の美白シートマスク、クレイ配合の洗顔料、期間・数量限定のサロン用セットなどを展開した。 店舗政策では、6月にヘアーサロン「ニーフ」の2号店を東京・恵比寿にオープン。炭酸ヘッドスパなどを提供しているほか、 会員向けのオーダーメイドウィッグ「シーボンウィッグ」のアフターサポートなども行う。このほか、サロンのコロナ対策として、 ストレス解消を目的に1/fゆらぎのBGMを導入したり、中国の民間療法「かっさ」を応用した非接触型のサロンメニューを開発して、 営業力の強化を図っている。
 通期業績見通しについては、8月21日付で修正。売上高87億1600万円(前期比21.5%減)、営業損失16億800万円、 経常損失13億7900万円、当期損失14億2700万円を見込む。来年1月24日に創業55周年を迎えるにあたって、 周年ロゴを策定するとともに、記念製品も順次展開していく。第1弾として、 10月に「コンセントレートプラスバイタルクリームa」を投入。第2弾として、来年1月から1年間、 エイジングケア美容液「ルミナスバイオセラム」を販売して訴求していく。
アイビー2Q レギュラー製品41%減
 アイビー化粧品の2021年3月期第2四半期は、売上高が前年同期比24.8%減の?億5800万円となった。 損益面は、売上原価率が同12.0ポイント上昇の35.6%、販管費率が同1.0ポイント上昇の74.3%となった結果、 営業損失は1億5700万円(前年同期は6300万円の利益計上)、経常損失は1億7100万円(同5000万円の利益計上)、 当期損失は1億6000万円(同3400万円の利益計上)となった。
 同社では、緊急事態宣言の発令に伴い、他社同様にサロン(アルテミス)や販売による営業活動が大幅に制限されたが、6月に入り、 地域によっては徐々に活動を再開。販売組織とのミーティングや会合にはオンラインツールを併用し、活動をサポートした。 また、全国会議での直接対面交流による販売会社のモチベーション醸成、主力製品の販売プロモーションの積極展開、 研修開催による販売員の増員と育成強化等を行って、強化製品である「レッドパワー セラム」の販促を強化。 当初は3万セットの受注を見込んでいたが、コロナ禍の影響で集客イベントや会議が自粛されたほか、集合型教育の機会が減少した結果、 同製品の売上は前年同期比約?%減となった。
 製品政策としては、複合美容器「アイビービューティパートナー」は3月の有償先行発売が遅れた。 一部部材の調達が再開され5月に初回出荷し、その後も段階的に出荷している。6月には、ヘアケアシリーズ「ヘアプライマリー」を 6月に投入し、好調に推移した。しかしながら、主力のスキンケア群などのレギュラー製品の売上は、同?・7%減と落ち込んだ。 このほか、7月には、運動のパフォーマンスをサポートしながら、健康をサポートする炭酸チュアブルタブレット「クレアスパーク」を 発売した。
 通期業績見通しについては、11月7日に下方修正を実施。売上高37億円(前期比3.5%減)、営業利益1億3000万円、 経常利益1億1000万円、当期利益7500万円を見込む。
主要各社の業績自粛の影響強く
 ポーラ・オルビスホールディングスの2020年12月期第3四半期では、ポーラブランドは売上高が同28.7%減の 729億2600万円、営業利益が同65.3%減の71億7700万円となった。ポーラブランドでは、コロナ禍によるインバウンド およびバイヤーの減少が続いたことに加え、緊急事態宣言が発出されたことで、外出自粛傾向が強まったことや、 店舗の臨時休業および営業時間の短縮を余儀なくされたことで、減収となった。また、ノエビアホールディングスの本決算 (2020年9月期)は、連結ベース売上高が前期比12.5%減の518億4100万円、営業利益が同32.8%減の80億6000万円、 経常利益が同32.7%減の82億4200万円、当期利益が同22.3%減の56億1800万円となった。主力の化粧品事業は、 売上高が同142%減の387億4200万円、セグメント利益が同27.9%減の?億500万円となり、カウンセリング化粧品、 セルフ化粧品ともに、消費増税やコロナ禍の影響を大きく受けて低調に推移した。
 このほか、ヤクルト本社の2021年3月期第2四半期における化粧品事業の売上は、前年同期比0.3%減の?億6600万円と、 プラスで推移した第1四半期から転じてマイナスとなった。全体の連結ベース売上高は、前年同期比5.7%減の 1904億2800万円、営業利益が同1.8%増の241億6200万円、経常利益が同10.5%増の334億9300万円、 当期利益が同5.1%増の217億800万円。コロナ禍の影響は未だあるものの、海外経済の改善などもあり、 持ち直しの動きがみられる。化粧品事業では、コロナ禍によって一部エステサロンにおけるサービス提供の自粛などの影響を受けたが、 感染防止策を講じた上で営業活動を継続した。6月には基礎化粧品「ラクトデュウ」シリーズのブランド育成策および薬用歯みがき剤 「ヤクルト 薬用アパコートS?E?〈ナノテクノロジー〉」の販促を展開したほか、7月にはスキンケアブランド「ラクトデュウ」 から2品を投入。また、越境ECにも参入し、中国のショッピングサイト「天猫国際」に旗艦店を立ち上げた。