NMI宮澤代表に聞く「特商法・預託法検討委」報告書 ㊥
宮澤 政夫代表
前回(10月22日号5面)に続き、消費者庁の「特定商取引法及び預託法の制度の在り方に関する検討委員会」(以下検討委員会)が8月にまとめた 報告書のポイントや、報告書に基づく法改正がダイレクトセリング(DS)業界に及ぼす影響について、 ネットワークマーケティング研究所(以下NMI)の宮澤政夫代表に聞いた。
―――いわゆる「詐欺的な定期購入商法」を念頭に、「顧客の意に反して通信販売に係る契約の申込みをさせようとする行為等」に関して、 特商法の規制を強化すべきとの提言が報告書に盛り込まれた。
「いよいよ通信販売にも特商法のメスが本格的に入ったと感じた。通販には、前回の?年改正(?年?月施行)で作られた、 『インターネット通販における「意に反して契約の申込みをさせようとする行為」に係るガイドライン』がすでにある。が、さらに規制が必要とされ、 ガイドラインも『見直しを早期に実施する』ことを求められた」
―――規制の具体的な方法として、「詐欺的な定期購入商法」を「独立した禁止行為」に指定することと、意に反した申込をさせようとしていると疑われる サイトのモニタリングがあがっている。
「ポイントになると考えるのは、『独立した禁止行為』にするという部分。禁止する『詐欺的な定期購入商法』をどう定義するのか。 原則禁止方針が固まった販売預託商法と同じような課題を抱えることになる。定期購入の仕組みは通販のビジネスモデルにおいて欠かせない要素となっている。 それだけに、検討委員会で日本通信販売協会の委員を中心にこの点が熱い議論となった」
―――「詐欺的な定期購入商法」が規制された場合、DS業界に及ぼす影響をどう考えるか。
「連鎖販売取引の企業の間で、定期購入に相当するオートシップのモデルが定着して久しい。『詐欺的な定期購入商法』を禁止しようという規制は、 通販の業界をターゲットにしたものだろうが、連鎖販売など他の取引類型にも〝引用〟されていく可能性を気にしている。一方で、NMIの会員からは、 『詐欺的な定期購入商法』は通販の問題であって連鎖販売のオートシップとは関係ない話、という意見も出ている」
―――連鎖販売のオートシップが規制の対象とならない場合でも、訪販や連鎖販売の事業者が通信販売を行っている場合は影響を受ける。
「訪販等の事業者が通販も行う複合モデルが珍しくなくなっている。『詐欺的な定期購入商法』の規制は他人事ではない。また、通販をやってなくとも、 連鎖販売の会社で定期購入している愛用会員がいる場合は、少なくとも買っている本人は通販のつもりでいておかしくない。もし何らかのトラブルが生じた場合、 会社の言い分と食い違ってくる可能性はありそう。 したがって、業界もこの問題にフォーカスしていく必要があるし、来年の法改正で実際に禁止されたら新しいルールに則った対応が求められてくる。 ただ、念頭に置かれている『詐欺的な定期購入商法』の手口を見ると、そこまで過敏になる必要はないかもしれないとも思う」
(続きは2020年11月5日号参照)