仮想通貨MLM 「ビットマスター」破綻の内幕㊥
取り出し不能に陥っている要因は、ビット社関係者の説明によれば、BTCの管理を委託していた関係会社BMEX(鹿児島市)の事務所付近で発生した落雷と、 その数日後にワンフロア下のビット社事務所で起きた火災。昨年8月に起きた、この落雷と火災を境にパソコンが故障し、 BTCの取り出しに必要なコードが読み出せなくなったという。その3カ月後の?月、破産手続き開始が決まった。
が、ビット社は営業を行っていた当時、セキュリティの万全さを売りの一つに会員を募集しており、取り出し不能という事態はこれと相反する。
一例がビット社のWEBサイト。会員向けQ&Aのページで、仮想通貨口座のハッキング対策を行っており「仮想通貨の盗難・消失の心配は一切ありません」 と述べ、顧客の資産と企業の資産は「分別管理」しているため「業績悪化によるパートナーの資産消滅は起こり得ません」と強調していた。
ペーパーウォレット(紙に印刷した仮想通貨保管URLのセキュリティキー)は「某銀行貸金庫内にて厳重に保管しております」とも説明。 この説明が事実で、ウォレットがまだ金庫内に残っているなら、BTC取り出しの道が開ける可能性もある。
破産手続きを任された管財人の弁護士は、手続き開始直後より、ビット社の事務所があった鹿児島市を幾度も訪ねている。 目的は、火災現場の確認や関係資料の確保、関係者からの事情聴取。この過程で、火災の調査を担当した警察官と面談、協議した結果、 「現場の状況には、何者かによる放火を疑わせる様子がある」(同)との判断に達している。 現在進められている、損害保険会社への火災保険金の請求にも関わってくる話だ。 (続きは2020年10月8日号参照)