ダイレクトセリング化粧品 多様化進むサロン展開

〝ニューノーマル〟での新しい施策 3密回避備えた需要掘り起こし
   〝ニューノーマル〟や〝ウィズコロナ〟と呼ばれる、新型コロナウイルスへの対応を前提とした日常生活、経済活動が定着しつつある中、 ダイレクトセリング化粧品分野においても、新しい施策が相次いで打ち出されている。緊急事態宣言下で臨時休業を余儀なくされたサロンでは、 さまざまな感染防止対策を講じて営業を再開し、半年余が経過した。現在は、予約数や席数の制限などはあるものの、 コロナ禍前に近いスタイルで営業しているケースが多い。さらに、〝ニューノーマル〟に合わせた新しいスタイルのサービスも登場している。 消費者ニーズは〝ニューノーマル〟の浸透とともに変化しており、サロン側もそれに対応した施策を展開している。  

▲〝自宅でもサロンでも同一の施術を
   受けられる「プレミアムエステ」(ナリス化粧品)〝
自宅でもサロンでも同一メニューを提供
 ナリス化粧品では、セルフエステをメーンとした「デ・アイム」や、専門のスタッフによるクイックエステを提供する「ビューティサロン」といった サロンを展開し、リーズナブルな価格で手軽に受けられるメニューによって幅広い女性層の顧客を獲得してきた。コロナ禍によってそれらのサロンも 一時は休業を余儀なくされたほか、既存顧客のみの受付などの対応を行ってきたが、現在は感染防止対策を講じながら通常営業を行っている。 一方で、同社が今年8月に約2000人の女性を対象に実施したインターネット調査では、55%の女性が「サロンでのフェイシャルエステの利用頻度が減った」 と回答しており、コロナ禍の影響が顕著にあらわれていることが示された。同社によると、フェイシャルエステを利用する女性は幅広い年代にわたり、 20~59歳の利用率は、25.1%で、特に若年層(20~24歳)においては44.7%と、半数近い女性が利用している。ボディエステなどに比べて時間や料金面で 手軽に来店でき、普段行っているスキンケアの〝プラスアルファ〟でフェイシャルエステを活用する女性が増えていることが窺える。
 同社では、コロナ禍によって、サロン内で複数の人と接触することを懸念して、フェイシャルエステを利用したくでも躊躇しているニーズを踏まえ、 〝究極のパーソナル空間〟である自宅でも施術が可能な新エステメニュー「プレミアムエステ」を10月21日から提供を開始し、 約5000人のエステティシャンが対応する。
 ナリス化粧品では、これまでにもサロンでのエステだけでなく、訪問スタイルでのエステなども行ってきたが、「プレミアムエステ」は、 同一のメニューを会員が場所を自由に選んで受けられるというもので、初めての取り組みとなる。メニューは60分税別5000円で、 ①ショルダーケア、②ヘッドケア、③クレンジング、④角質ケア、⑤マッサージングトリートメント、⑥マスクの6段階(カウンセリング、 メークの時間を除く、女性限定)。
 サロンでは徹底した衛生管理のもとで施術を受けられるほか、自宅でもサロン同様のリラックスを提供する。 具体的には、衛生管理面やマッサージングトリートメントなどの施術技術だけでなく、約10枚の大判バスタオルで簡易エステベッドを作成するスキルなど、 新メニューに合わせた特別研修を行い、場所を問わず同一のメニューを提供していく。コロナ禍の中、さまざまな分野で「巣ごもり需要」が増加する中、 エステにおいても、サロンへの来店が不安という声に対応した。また、多忙な女性やさまざまな理由で外出が難しい女性など、 多様化するライフスタイルに応じて、サロンと同じメニューを提供できる「おこもり美容」という新しいスタイルを訴求し、 〝ニューノーマル〟の需要掘り起こしを図っていく。
対面ノウハウ活かし非接触カウンセリング
 独自の「ホームケア+サロンケア」という美容スタイルを展開してきたシーボンでは、コロナ禍の中での新しいサービスとして、 オンラインでの無料カウンセリング「シーボン オンライン ビューティ・アドバイス」を10月1日から開始した。
 同社では、全国に1 00店舗以上の「フェイシャリストサロン」を展開し、化粧品の購入額に応じてポイントを付与、 それを使ってフェイシャルケアサービスを提供している。コロナ禍によって他者との接触減少が求められる中、 これまで対面で行ってきたカウンセリングについて、オンラインでのサービスを導入して顧客のニーズに対応していく。オンラインカウンセリングについては、 既に最大手のポーラがサロン施術の事前カウンセリングで活用しているが、〝ニューノーマル〟における新しい取り組みとして、今後増えていくことが予想される。
 シーボンの「オンライン ビューティー・アドバイス」は1回20分の事前予約制(1日2回まで)で、既存会員と新規顧客が対象。 同サービスでは、通信販売窓口に専門の知識を備えたオンラインフェイシャリストを配置し、これまで対面カウンセリングで培ってきたノウハウを活かし、 美容カウンセリング、化粧品の使い方アドバイス、顧客の肌に合った化粧品の紹介と販売を行う。 カウンセリング後、希望者にはアドバイス内容を記入したヒアリングシートをメールで送付する。シートは自宅でのスキンケアに活用できるほか、 対面とは異なるスタイルで希薄になりがちなオンラインでの顧客とのつながりを維持する狙いがある。
▲〝ラグジュアリーな空間でエステを提供する
   「サロン ド スペチアーレ」(ノエビア)〝
 シーボンではこのほか、「フェイシャリストサロン」の新メニューとして、非接触型の「顔筋ほぐしカッサケア」を導入、 従来のオールハンドで行う「東洋式美顔マッサージ」と選択式で選べるようになった。また、サロン内では、リラックス効果があるとされる 「1/fゆらぎ」を取り入れたBGMを流すなど、工夫を凝らしている。
 ノエビアは10月2日、最高峰スキンケアシリーズの名を冠した直営店「ノエビア サロン ド スペチアーレ」の3店舗目を東京・池袋にオープンした。 2010年に開設した「ノエビアスタイル池袋」を、池袋駅東口から徒歩1分という好立地に移転するとともに、 よりラグジュアリーなサービスと空間を提供する「サロン ド スペチアーレ」に衣替えした。
 新サロンでは、コロナ禍の中で需要が高まっているプライベート空間を重視し、4部屋ある個室にメイクアップブースを新設。 また、トリートメントルームでは、リクライニングのベッドとメイクアップができるブースが用意されている。また、ガラス張りのVIPルームも1部屋設置し、 高級感を演出した。専門スタッフによるオールハンドトリートメントや、最高峰スキンケアを用いた限定サービスなどによって、 さまざまなストレスに晒されている女性をケアする。