48社・返金遅延の理由は㊦
会員の目当ては、上場によるCコインの値上がりと、その売買による利益。が、それが難しいとなれば、Cコイン自体にはほとんど価値を見いだせない以上、 会員を続ける理由はない。このような状況で、会員から契約解除と返金の要請が48社に殺到する。
財務局の「指導」とCコイン送信の「一時中断」を伝えた、18年3月2日付の会員宛てメールでも「現在も解約申請を受け付けております」 「今回の事案を受け解約を希望される会員様におかれましては、従来通り書面にて解約を申請していただけますようお願いいたします」 「申請を確認した上で、解約手続きを実施させていただきます」と告知している。
このように返金に応じる姿勢を明確にしていたこともあり、ICOの実現は困難と見切りをつけた会員の多くが解約を申請。連載の㊤で触れた、 18年11月に48社から会員に送信されたメールは、「(18年)3月初旬にご申請された会員様の人数・金額が非常に多く時間を要している」と触れており、 解約が殺到したことを裏付ける。
当時の社内事情に通じる関係者によれば、「解約(の要請)がどーんと固まって来た」という。返金の順番は原則、先着順だったため、 遅れて申請した会員ほど返金の時期を後に回されていたが、大量の解約が押し寄せたことで、返金作業が「目詰まりを起こした」と振り返る。
つまり、18年3月から返金作業が事実上ストップ状態にある大きな要因は、当時、Cコインの上場プロジェクトが頓挫しかけ、 解約申請が殺到したことが深く関係すると考えられる。
さらに、タイトル上位の一部会員は、財務局の「指導」を伝えた3月2日付のメールよりも前の時点で、48社に解約を申請していたという。会員の一人は、 このことが判明したことも、多くの会員に申請を急がせたと話す。「上のほうの会員は、早い人は1月くらいに解約してたらしい」 「状況的にヤバいので、解約(の申請)が混む前に出してしまえと」「それで、自分たちも逃げ遅れるなとなった」。
また48社は、17年夏までにすべての取引行から口座の凍結措置を受けており、返金は、送金代行サービスを利用して振り込んでいた。 この凍結措置が解除される見通しが立っていなかったことも、先行きへの危惧を強めた。
(続きは2020年10月1日号参照)