消費者委が報告書 20年後の地方消費者行政のあり方、提言

AI・ICT活用、広域センター化など

   高齢者人口がピークを迎える2040年頃を目途とした地方消費者行政のあり方を検討していた消費者委員会の「地方消費者行政専門調査会」 (以下調査会、座長=新川達郎同志社大学大学院教授)は8月28日、AI(人工知能)やICT(情報通信技術)の活用、 分野横断・市町村連携型の相談受付体制の強化などを提言する報告書をまとめ、消費者委に提出した。人口の急速な減少、超高齢化社会の到来、 資源の制約によって、現在の〝フルセットサービス〟の消費者行政は困難になるとして、これからの取り組みの方向性を示したもの。 消費生活相談員をはじめとする人的資源や財源の確保などについても提言した。
PIO相談情報をオープンデータ化

 昨年6月の第20回調査会より検討を開始。8月13日の第35回調査会で報告書案をまとめていた。消費者行政の底上げを狙いに、限られた人員、 財源で効率的かつ効果的な取り組みに向けた方策を検討するとして、現状の分析や関係機関のヒアリングなどを行ってきた。
 AI、ICT活用の方向性では、PIO―NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)に登録された相談情報をAIを使って分析し、 悪質商法の早期発見や消費者、相談現場への早期情報提供を提案。相談情報のオープンデータ化も案に示し、個人情報や事業者名等を匿名化の上、 「分析や利活用において行政以外の協力も得ることが重要」とした。
 また、AIやICTの活用には多額の投資や専門的知識が必要として、消費者庁によるモデル事業の推進、専門人材の確保・育成などの支援が必要とも指摘。 消費者への情報発信用のアプリを国が開発し、地方へ提供するアイデアなどを示した。
(続きは2020年9月17日号参照)