フランスベッド販売の今期戦略

催事販売の集客回復、月60会場で開催「予約来場」も奏功、EC売上は倍増

 新型コロナウイルス問題でダメージを受けたフランスベッド販売(本社・東京都調布市、木谷一彦社長)の業績が好調子を取り戻しつつある。 緊急事態宣言の解除後、主力の催事販売で集客が回復。催事数の増加や予約来場制が奏功したほか、〝リベンジ消費〟や特別給付金が追い風となった。 WEB通販も巣ごもり需要を取り込んで成長を維持しており、今期(20年3月期)の増収を見込む。
1Qは訪販6割減 催事成長にブレーキ
 コロナ問題の影響が大きかった第1四半期(4~6月)は、全社売上が前年比で13.6%減、経常利益が24.1%減と苦戦。月毎売上は、 3月成約分が計上された4月こそ7.1%減と抑えたものの、4月の契約数の落ち込みで5月は39.6%減を記録した。
 特に「訪問販売事業」は、販売員と顧客の高齢化もあって感染防止を目的とした営業自粛の影響が大きく、3月の売上が前年比30%減と苦戦。 第1Qは同64%減と厳しい状況に見舞われた。
 「4月の訪販はほとんど活動停止状態。自粛要請で、5月の活動量は通常月の8割減くらいだった」「6月は、活動再開の判断について各販売員の意思を 尊重した結果、通常の半分程度だった。勧誘を受けてもよいか、顧客の意思もこれまで以上に重視した」(木谷社長)。
 前期(20年3月期)売上の6割弱を占めた催事販売の「インテリア事業」も影響は避けられず、第1Qは前年比8.4%の減収。 前期は17%の増収だった同事業の成長にブレーキをかけた。
 3月時点で北海道エリアに限定されていた自粛の影響が一挙に広がり、催事の主な会場であるフランスベッドグループのショールームの営業時間短縮、 PRスタジオ(ベッド・家具等の展示場)の休業を余儀なくされた。年度をまたぐ3~4月は、引っ越しや新生活のスタートでインテリア製品の 需要が高まる繁忙期だったことも響いた。
6月は2%増収 グループ拠点増加
 が、ゴールデンウイーク明けから5月中旬にかけて、特定警戒都道府県以外のショールームで予約制により来場受付を再開。 マスク着用や消毒剤の利用といった感染対策も取り、5月下旬の宣言解除後は客足が回復した。
 集客数、売上とも自粛前の水準に持ち直した6月は、全社売上が2.3%増を達成。中でも収益の柱である催事は「7月で二ケタ増収」(木谷社長)とした。
 回復要因の一つが催事数の増加で、現在は、外部の展示場なども活用したイベントを月平均?会場で開く。以前に比べて会場あたりの集客数は減らしたが、 全体の集客数は増加させた。
 この背景に指摘できるのがグループ拠点の増加。前期は熊本、岡山、横浜で新ショールームをオープン。今期も6月に長野・塩尻、 静岡・掛川で「PRスタジオ」が開かれ、東京・六本木に電動ベッド専門のショールームもでき、拠点数は計?カ所に拡大した(ほかに福岡直営店)。
 催事数の増加にともなうマイナスの影響もある。前期で7割に達した成約率は、複数の会場を回って購入を決める顧客の増加などを受けて低下。 感染症リスクの高い高齢者が外出を控えているため、単価の高い電動リクライニングベッドの売れ行きにも影響が出ているという。 が、客単価は今も6~7万円台を維持しており、客数増加との連動で売上を高めた。
(続きは2020年9月3日号参照)